するめとペンギン

「やばい。するめまじ旨い。」
「…何故今するめを食べているんだ。」
「ん、これ昼飯。」
「今昼飯食べる時間か?…ってちょっと待て。昼飯がするめって可笑しいだろ。」
「んー?そう?」
「そうだ。」

「いやぁ、ちゃんとご飯も入ってるんだよ?あとおかずも。ほら。」
「いや、まず弁当箱にするめを入れるな。…おかずや白米よりもするめの割合の方が多くないか?」
「いいじゃん。旨いし。それに今ね、質素倹約しようと思ってるの。でも何か健康的でしょ?(笑)」
「そういう問題じゃない。」
「じゃあ何なの。するめ食べたいの有人くん。」
するめを構えるな。俺は食べないぞ。
嫌いというわけでもないが。
「いや、そんなことは微塵m…」
口を開いた途端にいくつかのするめが口の中に入れられた。
「美味しいでしょ?」
「……………そうだな。」
不味くはない。

何故今昼飯(らしい)…のするめを食べているのかは理解不能すぎるが。
時間帯間違ってると思う。今昼休みとかの類の時間ではないぞ。遅すぎる。

「っていうかさ、今日の昼休みはね、時間なかったんだよ。なんかさ、色々あってさ、もぐもぐ」
「食べながら喋るな。」
「だって、するめ旨いんだもの。もぐもぐ」
「………そうか。」
呆れて大きな溜め息を吐いた。全く訳が分からん。
「溜め息なんて吐いたら幸せ逃げるよー?吸って、吸って!」
また溜め息が出そうだったが、また面倒になるだろうと推測したので、敢えて抑えて、息を思いっきり吸ってやった。

だが、これだけは言っておこう。
「…溜め息吐いたら幸せ逃げるとかいうのは信じがたいと俺は思う。」
「ユーモアよ、ユーモア。」
「それもそうかも知れないが…。」
危ない、また溜め息が出るとこだった。

「…そろそろ教室に戻っていいか?」
「あ、ちょっと待って。有人くんに渡したい物があったのよ。」
「何だ。」
「えっとね…、あ、これ。」
と言って差し出された小さな袋を受け取った。

「…?」
「袋可愛いでしょ?ペンギンだよ!」
「それはどうでもいい。」
「…はいはい。あ。開けてみて?」
と言われたので、袋を開けて中の物を確認した。
「ペンギンの…キーホルダーか。」
「そう!昨日時間あったから作ってみたんだ!どう、可愛いでしょ?」
「…そう、だな。」
「よかったら使って?」
「ああ、分かった。…ありがとう。」
「うんっ!」
少し照れながらも感謝の気持ちを伝えて、教室に戻ることにした。
こういうのは嬉しいが、やはり照れくさい。

ペンギンのキーホルダーを貰ったのはいいが、どこで使おうか。
使いにくいな…携帯等に付けるにしても何か恥ずかしい。
机の中にしまっておこうか。…でも使ってと言われたからには…
…名前から分かる物に付けておきたいな、と思いながらも、何に付けるか迷う。
帰ってからじっくり考えよう。最終的には春奈に聞けば良い。


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