暑い午後
「あ゛つ゛ーーーーーーー………」
少女は脱力しながら机に突っ伏した。
そんな彼女を見て俺は笑いながらその子の頭の上にカップに入ったバニラアイスを置いて、彼女の目の前の席に着いた。
「Σうぇっ?!!!!」
急に冷たいものが頭の上に置かれて驚いたのを見て、俺はまた笑った。
「リュウジ急に何すんのよー。びっくりしたじゃない」
彼女はブーブー言いながら頬を膨らませた。
「まあでも一応お礼言っとく。ありがと。」
「うんww」
そんな彼女が可愛くて、
そして何となく面白かったので、
俺はまたまた笑ってた。
「てか笑いすぎっ!!」
「いやあ、ごめんごめんwwww名前の反応が面白いからさあww」
「むぅ」
ああほら早く食べないとアイス溶けるよ、と促した。
「美味し!やっぱアイスはバニラだね」
「だね」
「あれ、リュウジは抹茶のが好きって聞いたんだけど」
「え…誰から聞いたの」
「んー…誰だっけなあ…」
眉に皺を寄せて少し考えて、
「あ。確かヒロトだったかな。」
「…そっか」
俺、ヒロトにバニラアイスより抹茶アイスが好きって言ったことあったっけ。
…よし、今度会ったらアストロブレイクでも喰らわしてやろう、と心の中で決意した。
名前にデタラメ言ったんだ。自業自得だね。
「どうかしたの?」
「え、いや、別に何でもないよっ」
「そう?」
「うん」
彼女は明らかに不審そうな顔をしながらアイスを口に運んだ。
アイスを口に運ぶ度、幸せそうな顔をしている。
「名前、本当に美味しそうに食べるよね。」
「だって本当に美味しいんだもん。夏にアイスなかったら私溶けちゃうよ。」
「えw…溶けちゃった名前見てみたいかも」
「何か言いましたー?」
「別になんでもないよっ」
「本当?」
「うんw」
俺はアイス食べてる時より、名前といられるだけで幸せだよ。
………っていうのは、まだ口に出せないけれど。
[mokuji]
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