半鳥はなく | ナノ


(これ、ずいぶんと使い古されてるけど…)

はい戦利品、とこの前兄に手渡されたリボンを取り出して眺めながら、私は霧の中を歩いていた。

最初に襲われて以来、恐くてなかなか外に出られなくていたけど。
兄さんや皆が少しずつ調べてくれたおかげで、小さな女の子かも?なんて言われるようになって、なら…とここ数日は私も調査に行くようになった。

まだ本当の所はどうなのか分からないよ?とは釘を刺されていたものの、このくたくたなリボンを見ていたら、なんだか変に大丈夫な気がしてきたのだ。

(だって、これ絶対大事にされてきたものだもの)

なんて、しげしげ眺めてたら。

「かえしてっ」
「!?」

聞こえた声と軽い衝撃のあと、手の中のものを奪われる感触。

「え、あのっ」

いきなりのそれにびっくりして、引き止める間もなくそのまま飛んでいってしまったけど、今のは。

「…鳥…ハーピー…?」

しかも子ども。あと涙目だった気がする。
…何がなんだかまだ混乱してるけど、とりあえず兄さんに報告しよう。そう思った。