おいしい季節 「あら、これどうしたのかしら」 机の上、ちょっとした山のようになった栗の実を見てイヴリンは声をあげました。 一つ手に取って気づきましたが、丁寧に全部イガから取り出されています。 そんな彼女に、横からぼそりとオニキスが言いました。 「…以前、お前たちがこれで菓子がどうのとか話していただろう」 「ああ、確かそんなこともあったけど…」 だけど、それだけで? とまだ不思議そうな顔をしているイヴリン。 すると、ここでひょいと裏口からシュトルヒが顔を出しました。その手には、また栗の実。 「要するに、『あれ俺も食べてみたいから作ってください』ってことだよ」 「…余計なことは言わなくていい」 抱えた一山を先ほどのものと一緒にしつつ、にっこりと説明します。 そんな彼に兎は低く抗議はするものの、当たっているのかそれ以上は何も言いません。 「このひと不器用でさ、見てられなかったからイガとり手伝ったんだ。ついでに運ぶのも」 「…」 「なるほど、そういうこと」 黙ってふいと目を逸らしたオニキスに、苦笑するシュトルヒ。 それにつられて思わず笑いながらも、任せて、とイヴリンは頷きました。 「…それにしても、ちょっとこれ多すぎない?」 「量が分からなかったら素直にきけばいいのにね」 「…うるさい」 ――――――― 9/14〜10/31の話題は「おいしい季節」になります。 実りの時期ということで、クラージスでもあちこちで秋の味覚が楽しめそうだとか。 お茶会や食卓・台所の様子など、食をテーマに交流していただけたら、と思います。 [Top] [Back] |