進撃 | ナノ
生徒会室で資料をかたづけていると、背中にどん、という衝撃を受けた。思わず持っていた本を落としそうになったけど、寸ででキャッチをする。ふうっ、と一息ついたあと、首だけを後ろに向けてみれば見知った頭、もといつむじが見えた。
「…ナマエ、いきなり抱きつかれたらびっくりするよ」
「…」
「ナマエ?」
「…」
声をかけてもだんまりを決め込む幼なじみに首をひねりつつも、お腹にまわった腕の力が少し強まったからには声は届いてはいるんだろう。
「何かあったの?」と続けて声をかければ背中に頭をぐりぐりとされる。…違う、ということなのだろうか。
だが、普段は割りと明るい彼女がこんな風にしおらしくなっているのだから、何かしら原因はあるはずなんだけれども。
少し考えて見る、
…うん、心当たりがありすぎるね。
仕方がないので思い当たることを片っ端から尋ねてみることに。
「お腹いたいの?」ぐりぐり
「リヴァイ先生にまた怒られた?」ぐりぐり
「じゃあナナバ先生!」ぐりぐり
「…うーん…それじゃあ誰かと喧嘩したとか?」…
お、これは脈ありか。
いままで否定の意思だったぐりぐりが止まる。誰か…と考えて思い当たる人物はただひとり。
「またジャンと喧嘩したの」
そう言えばさらにだんまりを決め込んでしまったナマエ。
喧嘩するのはいつものことだけど、こんな風になるのは珍しい。どうしたものか、と頭を捻りがらまわされた腕に手を重ねて、あやすようにぽんぽんとたたけば、背中あたりにじわりと何かが広がった。
「!ナマエ、もしかして泣いてる?」
ぐりぐり
嘘つけ、
だったらこの湿り気は何なんだ。
変なところで強情な幼なじみにはあ、とため息をつきつつ、もう一人の強情な幼なじみを思い出す。
ジャンはたまに言い過ぎるところがあるからなぁ、だからこんなことになってしまったのだろうか。
…それにしても、ナマエが泣くほどのことをしたのはちょっといただけないかな。
重ねていた腕を少しだけゆるめて、ぐるりと体を反転させる。
向き合うような形でへばりつくナマエの頭にぽすんと手を置いて軽く撫でる。僕の体に思いきり顔を押し付けているためナマエの表情は見えないけれど。
「ナマエ、もう泣かないで。」
君の泣いてる顔は見たくないんだ、
「ジャンにはあとできつく言っておくから。」
君のことを泣かせるやつは僕がこらしめるよ、たとえジャンであってもね。
「だからもう、泣かないで」
ナイトのひとりごと。
(ナマエ、君のことは僕が守るから。)
そう思って力を込めた腕の中。
…君の耳が赤いのは気のせいじゃないといいのだけれど、
***
ガラッ
「おいマルコ、ナマエのやつ知らねえか…って何やってんだお前ら」
「…何って、ジャンに泣かされたナマエを慰めて」
「はぁっ?!俺は何もしてねえぞ」
「え」
「ナマエが大事にしてたプリンをサシャとコニーが食っちまったんだよ。それで泣いて走り去ったナマエを追いかけてきただけだ、俺は」
「は…プリン…?」
「おう」
「プリンで泣いてたの…ナマエ…」
「……………(ずびっ」
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はやとちりマルコ^▽^
マルコは騎士(ナイト)ですね。…あれ?それじゃあジャンは馬k「おい」
20131010