oh… | ナノ





うちの監視官はとにかく小さい。

…あ、あの図体でかい野郎二人の話じゃねぇよ?
あいつらと1年遅れで配属された女の監視官。
女つっても、童顔だし、スタイルもあんまよくねぇ。俺の思う女の部類には入らないガキんちょだ。


「相変わらず小っちぇーなーなまえは。」

「…どこ見て言ってるんですか」

「えー、どこって」

「ひ、ぎゃーっ!宜野座さん!佐々山さんがセクハラしてきます!!」

「…はぁ、おい佐々山いい加減に…」

「だってぎのせんせーだってちっさいと思うだろー?」

「………まぁ、」

「ほらなー!認めろなまえ!」

「ち、ちがいますよ!宜野座さんは身長の話をしてるんですってば!!」

「んなわけねぇだろ、あいつだって男だぜ?な、宜野せんせ?」

「?…あ、ああ」

「絶対わかってない!!」


「いやでもよ、マジな話。こんだけちみっこいと簡単にひっとらえられそうだよな」

「凄腕監視官的な意味で?!」

「ちげぇよ!どこをどう聞いたらそうなんだよ!」

「…確かに、人質にされやすそうだな」

「こ、狡噛さん…?何を言って…」

「よく海外ドラマとかであるだろ?犯人追っかけてって逆に人質兼盾になるパターンが」

「っ!」

「そうそれ!まさしくそれ!さすが狡噛せんせー!」

「ちゃかすな。…でも本当に気をつけろよなまえ、お前は運びやすそうだからな」

「あ、はい(これは本当に心配されてるのか…?)」

「ぶふぅっ!!」






こんなやりとりをしたのが数時間前。そんでこれが今。


『緊急事態発生、容疑者が監視官一名を連れて逃亡。現場付近にいる監視官、及び執行官はただちに追跡せよ』


「だーっ!もーくそっ!(言わんこっちゃねぇ…!!)」


半ば冗談だったとは言え、まさか現実になるとは、
こんなことになるなら、突っ走ってったあいつを無理にでも引き止めればよかった。

『もうちびっことは呼ばせませんよ!こんなの余裕です。』

って、全然余裕じゃねぇじゃねぇかよ!あんの馬鹿…っ!


はやる気持ちを抑えてドミネーターを握り直す。
後ろで狡噛の叫ぶ声が聞こえるが、そんなのには構ってられない。

犯人の逃げ込んだであろう部屋の前まで全速力で走る。…ああもう何で俺こんな必死になってんの意味わかんねぇ。

…ちくしょうっ、無事でいてくれ…!

そしてたどり着いた目的地を思い切りぶち破る。


「なまえっ…!!!」


部屋の中に飛び込むと、いままさにあいつが犯人にとっ掴まれて押し倒されるところだった。


「っ!…のやろぉっ!!」


ドミネーターを放りなげ、犯人に向かって思い切り体当たりをする。
壁に打ち付けられてもなおこちらに向かってくる野郎の顔面を勢いよく殴りつければ、やっと静かになる空間。
手錠をすばやくかけあたりを見渡すと、地面に座り込み呆然としているなまえの姿があった。


「おいなまえっ、大丈夫か!」


急いで駆け寄り肩を掴めば徐々に生気を取り戻していくなまえの目。


「さ、さっ…やまさん…っ」

「ああ俺だ。ったく、何簡単に人質にされ、って…うおわっ!」


がばっと思い切り抱きつかれる。突然の出来事の対応できなかった俺の体はそのまま後ろに思い切り倒れた。ごつん、という音がした。いてぇ。

俺のことを押し倒したあと、ぴくりとも動かないなまえに戸惑いつつ頭に手を置いてやれば聞こえてくる嗚咽。じんわりと胸元が湿ってきたのがわかった。


「こ、…怖かっ、たよ…ぉ」

「……一人で突っ走るからだ馬鹿。」


そう言って頭を撫でてやれば「…もとはと言えば、ささやまさんのせいっ、なんですからねぇ…っ!」と涙目で睨まれた。…確かに俺が挑発するようなことを言ったのがいけなかった。


「…悪かったよ、」

「っ、…ひ、くっ」


謝ってもなお泣き続けるなまえに、しびれを切らし俺は咄嗟に叫んでしまった。


「だーもー!悪かった!!この詫びに、これからは俺がお前のこと全力で守ってやっから!!だからもう泣くな!」


言ってしまった。我ながら勢いとはいえくさいことを言ってしまった。
恐る恐るあいつの顔を見れば、泣きはらした目を全開にしてこちらを驚くように見ている。…おいおいとんだアホ面だな。そう思ったのも束の間、次の瞬間には今まで見たことのないような嬉しそうな顔で微笑むあいつがいた。



あー…、その顔は反則だろ。

…ちくしょう、ガキは対象外だっつーのに、



(佐々山さんが守ってくれるなら、もう泣きません!)
(っ…)

くそっ、意地でも守ってやる…!





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こどもに振り回されるおとなおいしいです。←
何か色々とめばえちゃってればいいよ!


NG
「お、おい狡噛!なぜ突入しないんだ!(小声)」
「しっ、静かにしろギノ、いまいいとこなんだ(小声)」
「は」
「いやー若いってのはいいもんだねぇ」
「とっつぁん声でかいぞ」


覗き見じゃないよ待機だよ。>一係

NG2
「〜っ守ってやっからよ!!」

パシャッ

「(え?いまパシャって…)」
「…守ってやっからよ☆(笑)(笑)(笑)」
「っく、くにづかてめええええええ!!」


しばらく佐々山マジいけめん(笑)という言葉が一係で流行りました。



遅くなったけど、みつるんお誕生日おめでとう!!

20130331
[baCK]




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