act.13
空が広く青くて。地面に生えている草達は元気に太陽に手を伸ばしたようにあちこちに生えている。私の手元には白つめ草が生えていて。何となく、一本摘み取ってみた。

あぁ、そう言えば前マリーちゃんに貸して貰った本に書いてた白つめ草の話があったな…なんて、ぼーと白つめ草を見つめながら考える。

(確か、白つめ草は元々、天界に合ったもので。アダムとイブが罪を犯して天から降りてくるときに持ってきた唯一の植物、だったよね)

眺めていた、白つめ草の断面からは白い液が滴り落ちた。

(こんな小さな花にだって命はあるんだね…)

命があるなら感情もある筈、だから…。誰にも話せない、相談出来ない思いを赤裸々に話してしまっても良いですか…?

ぽろぽろぽろぽろ、涙腺が既に決壊して。大粒の涙がもう堰き止められないくて。大粒の涙が雨のように白つめ草に降り注いだ。

(やだなぁ、植物が相談に乗ってくれるわけ…無いのに、)

心の奥底では思う。なのに、もう辛くて。ひた隠しにするのが苦しくて。本音が溢れ出す。

(もう、どうすれば良いのか…私には分からないよ。あの日から、カノと真面目に話せてない。話せない。心は話したいって思うのに。カノに対して笑えないし…本当、最悪。カノだって謝ってくれたのに。何で?何で?こんなにも私はカノを避けているの。そのせいで、メカクシ団自体の空気も悪いじゃん…。私が…私が…)

───消えれば、全て元に戻るの?

(メカクシ団の空気を悪くして、皆に迷惑をかけているのならそれでも良いかもしれない。だけど…)

不意に思い出したのは孤児院の頃のカノの言葉で。

(消えたらまた怒られちゃうかな)

いや、きっと怒られる位じゃ済まないと思う。それに、今は大事なものいっぱい見つけたから、消えられない。

(だから、無意味、だよね。こんな考え方)

ぐるぐると回った思考はいつも通り、こんな所で止まっちゃうけれど、吐き出した分だけ、少しだけ重荷が軽くなった気がした。



20140518
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