act.05
渡させた給与袋を見て、流石にビックリしました。そのまま私の思考は停止。

(給料が何時もの半分以下になってる…!)
(やっぱり、深夜帯のバイトを大幅に辞めたのが悪かったのかな…?それとも私が、最近熱を出しがちだったから…!?)

給与袋を握りしめて自室で固まっている私。端から見ると何しているんだろう、状態…。でも、頭はフル回転です。……なんて問題じゃなくて!

「やっぱり、バイトをもう一つ…」
「それは反対だなぁ〜」
「えっ!?カ、カノ…!?」

私が声に反応して振り返るとカノが扉を開けて見ていて。「あはっ☆」とか効果音が付きそうな態とらしい笑顔を此方に向けて部屋に入ってくる。

あの、普通に入ってきていますが…此処は私の部屋ですよね?という内心を飲み込んで、勝手に私の本棚をいじりだす。

「あの、カノ…。入らないで、までは言ってないけど、扉を開けるときはノックしてって…」
「あぁ、あれ?だって、ヒノは部屋に置いてあるiPod専用のスピーカーで部屋にも音楽を流すタイプでしょ?だから、意味ないかと思ってしかも、さっきもノックしたよ」
「え…?聞こえなかったよ?」

それは、とカノが私の机の上に置いているスピーカーを指差した。軽快な明るい音楽が流れている。そして、いつも反応無いしね、と付け加えられた。

うん、事実。私はiPodの音楽を急いで止めた。本当、カノには反論が出来ないなぁ…。なんて、第一に私のボキャブラリーの小ささが問題なのかもしれないと思い、肩から力を抜くように溜め息と共に落として落ち込んだ。

「まぁ、ヒノはいつもの事だし、良いんだけどね。」

と、話ながら私の隣に座ったカノ。ちゃっかりいつの間にか近づかれていたみたいで。つい、体を引いたけど、近づかれて。気が付いたら座っていたベッドの壁際に寄せられてる。壁際まで数センチ。カノの体にも数センチ。私の頭がエラーを発して顔がかぁあぁ、っと真っ赤に染まる。

(え、カ、カノ近くない…?キツいからもうちょっと寄って…)

と、言おうとしたときにカノが私の目を見て笑う。な、何か可笑しかったの?なんて焦って考えてみるけど、既に停止してる頭は働きません。

「焦ってるね?ww」
「誰のせいですか…?」
「う〜ん、誰のせいだろう?」
「私は目の前に居る、猫目の方のせいだと思います」
「猫目?僕には見えないなぁ」
「それはそうでしょう。猫目は貴方何ですから」

え!?僕?なんて目の前でカノは態とらしく驚いたふりをするけども、本人も分かっているんだろうなって。そんな事を考えて居ると無意識に顔が笑ってしまう。それは、カノも同じ様で。

「ふふ…っww」
「…ぷっ…wwwくくく…っwww」

結局、二人で手を伸ばせばキスが出来るような至近距離でお互い頭を俯かせて、少しだけ当たっている状況で笑っている。

―――幸せだなぁ…って。

こんな楽しい時間が何時までも続くんだと思うと、人生って素晴らしく楽しいものだなぁ…。なんて、私には似合わないようなセリフだよね。でも、メカクシ団のメンバーに会えて皆に会えて、暗いだけの人生が明るく楽しいものに変わったの。

私が目だけカノに向けるとカノもまだ笑っていて。私達はお互いが笑いが止まるまで幸せを噛み締めながら笑いあった。



 
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