※黒バスで人狼パロ
※死亡してる方達居ます
※死ネタ
※終盤の噺
人狼。それは人を食らう人間の姿をした妖怪。あくまで、昔話の中の話だってずっと思ってた。なのに、目の前に突きつけられた現実は思ったより、私の心を引きちぎる。一度千切って、また千切る。ああ、もうどうすれば、いいか、私には分からないんだ。涙も流れなくなった。目の前に転がる確かに昨日まで、私に笑顔を見せて励ますように頭を撫でてくれた宮地先輩。暖かかったそれは、死んでからはただの冷たいものに変化する。
「大丈夫か?」
「あ、ああ…真君…。大丈夫…かな」
「嘘を吐くな」
「えっ?え?」
瞬間、ぐいっと腕を真君に引かれて体制が思いっきり崩れそうになった。でも、それすら真君は受け止めてくれる。……昔と比べて大きくなったなぁ…なんて、幼なじみだから分かること。真君は「今吉先輩、ちょっとコイツ部屋で寝かしてくる」って今吉先輩を見ること無く吐き捨てた。一方、「おーぉ、人数確認は此方でしとくからな」ってひらひらと今吉先輩が手を振る。何となく、頭を下げてしまった。
――……‥‥
「さて、と」今吉は席につきながら、ホールに居る残り少ないメンバーを見渡した。
「何となくで、鎌を掛けてて正解やったな」
「全く、悪趣味なのだよ」
「まあ、まあ、緑間君。鎌を掛けないと僕らは全員殺されてしまうんですよ」
「そうだが…黒子」
「…残ったのは、僕達だけだ。仲間の死を無駄には出来ないです。緑間君も辛かったでしょう。終わりにしなきゃならないんです」
「黒子……」
「はいはい、今はそこまでにしーや、黒子に緑間。…緑間は、占い結果を言うてくれんか?」
「………………はい、クロでした」
「決まりやな。行くで」
――……‥‥
後ろにある扉が重たい音を慣らしたから、花宮は振り向いた。本当は来るのを理解していたかの様にほくそ笑みながら。
「やっと気がついたか。普通、もっと早く疑われるもんだと思ってたんだがな」
「まあ、内心疑ってなかった。と言うと、嘘になる。まあ、まあ、そんな表情せんといてーな。何時にもまして怖いで」
「何を言ってんだ、今吉さん。あんたのその表情の方がよっぽど怖い」
「花宮には、負けるわ」
「ま、そんな事はどうでも言い。処刑、しに来たんだろ?俺を」
「ん?わいは花宮を殺したりせんで。ただ、聞きに来たんや。………那菜氏はどうしたんや?」
「部屋で寝てんだろ」
「それが、居らんかったんや。んで、山に入っていくのを高尾が見てるからなぁ」
「んで?」
「花宮、わい、結構これでも怒っとるんで。花宮が人狼は残り1人なんて言うからや」
「おま…!」
「鎌をかけて良かった。花宮が人狼なのは半信半疑やったんや。先に、那菜氏を占った。お前、昨日緑間を襲ったやろ。あれで、成功してたらお前等の勝ちやったんけどなぁ。残念、残念。此方には、無敵なナイトが付いとる。花宮、お前の処刑は後や。先に、お前の前で、那菜氏が赤に染まっていく様を見せるわ。じゃあな、また、後で」
――……‥‥
ある力がない人狼の女の子は、人の血肉が無いと生きられませんでした。故に、彼女は小さい時から、この世界では虐げられた。庇うように立ったのは一人の幼なじみの少年。彼女はいつしか、彼に感謝を思ったのです。だから、最後に、最後に、彼には逃げてほしかったのです。しかし、それは彼も同じだった。相互的関係が確かにそこにはあったのです。持ちつ持たれつ。故に、彼女を無くした彼が辿った道は一つだけ。地獄で逢えれば、なんて淡い期待を抱いたりして。闇しか無いのに。
20140707
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