Short | ナノ


▼ 願い事をクローバーに

 



最近…美風先輩がボーッと考え込むようになった。
いつも通りの顔なのに…何処からか、寂しさと切なさが分かるような顔で…
だから私は…



『美風先輩…ちょっと散歩に行きませんか?』



美風先輩を少しだけ連れ出した。













「何で公園?」



私の隣で美風先輩が訝しげに呟く。
美風先輩の青色の髪の毛を太陽が照らして綺麗。



『理由は…これです』

「シロツメグサ?」

『確かに…シロツメグサですが…』



目をシロツメグサじゃなくて、緑色の草に向ける。



「成る程…クローバーね」



美風先輩は私の目線の先を見て答える。
美風先輩はよく察してくれる。
そんな所が好きなところの一つ。
私の隣に美風先輩は座って、四つ葉のクローバーを捜してる。


でも…駄目なの。
四つ葉のクローバーは私が捜さなきゃ…



『美風先輩…クローバーは私が一人で捜します。』



美風先輩は一瞬私を見てから何かを察したように立ち上がる。



「日没までには帰ってきてよ。心配するから」



美風先輩はそう言って帰って行った。
私はそんな美風先輩に笑顔で"はい"って答えて手を振った。



大丈夫…私なら見つけられる!


そう思ってクローバーに向き直った。












…え…意外に無い…



既に日没しつつある空を見上げて、私は半泣きになって捜してた。



絶対に美風先輩にあげたいのに…



それからまた暫く経った。
日だってとっくに暮れてる。



美風先輩怒ってるかな…



目からポロポロポロポロと涙が零れて地面を濡らす。
暗いから識別は出来ないけど…



「見つけた」



え…?



後ろから聞こえたのは美風先輩の声。



「日没には帰って来いって言ったけど?」



美風先輩の声は怒気を少しだけ含んでた。



『ごめ…なさ…』

「でも、良かった」

『え?』

「なまえが無事で」

『美風先輩…』

「二人っきりのときは藍。」

『…はい…藍先輩!』



藍先輩はそう言って頭を撫でた。



「あと、これ」



藍先輩が差し出した手にあるのは四つ葉のクローバー。
私は『ありがとうございます』そう言って受け取った。










−−−ずっと 二人で居れますように−−−



 

prev / next

[ index|top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -