Short | ナノ


▼ 優しい君

 
 
 
全ての始まりはあのバカ---カノのせいだった。今、私達の間に流れる空気は沈黙。皆固まったまま動かない。もちろん、私も。
話は数刻前に遡る。



***



『おはようございまーす!』

私は元気良く挨拶をしながらアジトの扉を開けた。今日は久し振りにモモちゃんもセト君もお仕事が無い日だから、皆で集まれる。
久し振りの全員集合だから、嬉しいな♪
だけど、扉を開けた時に私の目に飛び込んできた光景は、何故か転けるマリーちゃん。顔を真っ赤にしてるキドさん。ニヤニヤ笑いを私に向けるカノさん。シンタローさんはいつも通り携帯をいじっていてエネちゃんは画面の中で何をしているのか分からない。それにセト君は…何でか私を見て驚いた顔をしているし。
私、何かした…?



「…ナイスタイミングだね♪なまえちゃん」

初めに沈黙を破ったのはカノさんだった。顔は相変わらずニヤニヤしてる。
何?絶対、何か企んでるよね?
相変わらずのカノさん恐怖症で少し身構える私。思わずキドさんに目を向けるとプイッとそっぽ向かれてしまった。キドさんの顔は少し赤くて、
どうしたのかな…?
と、不安になる。

「…マリー、早く立つッスよ。」
「あ、ありがと」

次に口を開いたのはセトさん。転けたマリーちゃんに手を差し出してる。
相変わらず、仲良いよね…?
付き合ってたりして。
何て思うと少し寂しくなってきた。

「なまえちゃん、何を考えてるの?」

ニヤニヤしたままカノさんが話しかけてくる。
あれ?さっきより距離が近い?
気のせいだと思って私はカノさんの質問に答える

『別に、なんでもなi…』


「あ…!///」

「…っ…カノ!?///」

「……!///」

「ご主人、見えないですよ〜…?」

「……!?」



言い切る前に、目を見開く光景。
カノさんが、私の口に…


キスをしました。



 

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