神の使い2

どうやら俺は他と違うらしい。
そう思ったのは何時だったかも覚えていない遥か昔の話。
そう何百年も前の話。
だからアイツの言う八日前やひと月前と言われてもあまりに時間が経っていなくて分からなくなる。
それでも話していく内にそんな事もあったな程度だ。
生きている月日が違うからズレが生じる。
それでもアイツは高尾は嬉しそうに話す。
こいつは先の話をする事を酷く拒む奴なのだ。
「今年も無事、春になりましたねー宮地サン」
「まだ雪解けしてない所もあるけどな」
「風が少し違ってるからもう春でしょ」
「あ、此処に来る前、ふきのとう見たな」
「何処ですか。俺食いたい」
「取り敢えず落ち着け」
この社に来る前、ふと雪解けの合間から顔を出した淡い緑色に顔が緩んだ。
何度目かの春かも分からないのに今年はやけに暖かいような気がして。
まだ完全に雪なんて溶けていないのに普段は重い足取りも軽くて。
目の前ではしゃぐ高尾の首根っこを掴んでやる。
そんな急がなくても逃げる訳ねーのに。
「誰かに喰われたらどうするんですか」
「まだそこまで冬眠から覚めてねーから安心しろ」
口を尖らせる高尾の表情をまじまじと見つめた。
まだ俺には物珍しい、その夕日色の瞳。
と言っても今は身長差のせいで髪に隠れて少ししか覗けない。
つい最近までこいつの目は人間にしては高等の術式で覆われていた。
人間にしては、と言ったのは俺にとってそれは封術にもなっていなくて指先で触れるだけで消えてなくなってしまうものだからだ。
けれど普通の人間には触る事は出来ても解く事など出来ない。
黒髪から覗く綺麗な瞳を見た時、俺の中にある気持ちは確信へと変わっていった。
今まで何にも、況してや人間になんて興味を示さなかったのに高尾は違っていた。
目を覆われ俺の姿を目視出来ないから。
それが近付いた最初の理由。
あとは人間とはまた違った空気と匂いを持っていたから。
俺は毎日飽きもせず高尾と過ごしてきた。
「宮地サンには分かるんですか」
「まぁ一応此処の山を任されてるからな」
任されていると言う言い方は語弊があるかもしれない。
尾を九つ持つ俺は天狐と言って神獣のひとつだ。
カミサマとやらではない。元々、俺は狐だから。
狐は稲荷神の神使であり稲荷神ではない。
神の使いと呼ばれる妖狐に過ぎない。
普通、実体を視覚で捉えることが出来るのは野狐と呼ばれるものだけで霊的な存在とされる俺は目視では捉えられない。
なのに、どうして高尾は俺を見て話が出来るのか。
やっぱりそれはこいつを縛ってきた、術式で封印しなければならなかった何かの所為だと考えるのが妥当だ。
その原因が何かなんて今の俺には酷く興味がない訳なんだが。
そう、今の俺には大事な事がある。
首根っこを掴んだままの高尾を離してやり肩を掴めば大袈裟なぐらい震え上がった。
「…おい高尾」
「なんすか」
「こっち見ろ」
「見てます、けど」
「視線下がりすぎだろ、こっち向け」
「だから」
「見てないって言ってるよな。殴るぞ」
一向に上がらない視線に俺は苛つきを覚えた。
こいつ、あの日以来俺と目を合わせる事をしない。
初めて俺の姿を見た時にはしっかりとその瞳を向けていたと言うのに次の日から俺が言わないと目を合わせなくなり。
今では視線を逸らして会話をするから俺の機嫌も悪くなる一方だ。
まだ目を覆ってた頃の方が顔をしっかりとこっちに向けていただけに分かりやすい変わり方に俺は肩を掴む手をそのまま頬へ移動させる。
おー、また面白いぐらいに驚きやがって。
「高尾」
「宮地サン、ほんと、近いんですけど」
「お前が顔上げればいいだけの話だろ」
触れた手のひらから、じわりと伝わる熱に思わず指先で頬を撫でれば高尾は泣きそうなぐらいに眉を下げる。
そんな顔見せられても余計苛めたくなるってこいつ気付いてないよな。
「じゃあ、これで」
「……おい、テメー焼くぞ」
「向いてるじゃないです、か」
「目が俺の方向いてねーだろ」
顔を上げたまでは良い。
けどな綺麗に目だけ逸らしやがって。
「宮地サン文句多い、っ、ってぇ」
思わず俺は指先で高尾の額を弾けば勢いよく顔を下げる。
手を離してやれば小さく蹲ったがそこまで力を込めたつもりもない。
寧ろざまぁみろって感じだ。
意地になって目を合わせようとしない高尾が悪い。
溜息一つを吐いて俺は御神木に凭れ掛かる。
見上げれば結構な年を重ねたスギだ。
俺より若いんだろうけど。
「もう中入るぞ。黄昏時だ」
「宮地サン、もう帰っちゃうんですか」
こいつ…目を合わせないくせに俺が先に社へ行こうとすると裾を掴む癖をどうにかしろ。
「…。あと少しなら居る」
手を取ろうとは思わない。高尾の手が離れない程度に足を進めれば大人しく付いてくる姿にさっきまでの苛ついは何処かに行ってしまうのだから俺も単純だ。
難しく考えるのは好きじゃない。
長い時間の中で学んだ事は沢山ある。
人間の気持ちってやつは中々理解出来ないけど。
俺の中にも少なからずそういう感情が湧き出るって事は昔関わった人間たちの所為なのか。
今となっては名前なんて覚えていない。
それならこいつは、高尾はどうなるのか。
「宮地サン…?」
「悪い。考え事」
思わず足が止まっていた。窺う様な声色に意識が戻され扉を開ける。
考えても無駄だ。難しい事や厄介事は好まない。
けど、この手が離れていく時に感じる喪失感はきっと。
「まだ寒いから温かくして寝ろよ」
「子供じゃないですって」
「俺から見れば子供だって話」
口を尖らせるその仕草も俺と目を合わせないように必死な姿も可愛いなんて言ってしまえばお前はどうするんだろうな。
なんて。
不毛だ。
「宮地サン帰るんですか」
「まだだってさっき言ったろ」
「…」
「なんだよ」
「別に」
「あっそ」
前よりも会話の流れはよくなった気がする。
高尾は自分が忌み子だと言う事を隠したくて話したくて葛藤していたらしい。
だからいきなり会話が止み歯切れ悪く何かを言おうとしていた。
今となっては無くなったから良いけど。
それでも何かを言いたそうに俺の方を見る時が多い。
目を合わせてやればすぐに逸らすんだけどな。
差し込む日の色は、こいつの目の色と同じだ。
淡くて、綺麗で吸い込まれてしまいそうな色。
覗きたいのに許してくれない。
「そう言えば今日来るの遅かったですよね」
「あー、ちょっとな」
「…来ないかと思った」
「約束してんだから来るに決まってんだろ」
欠かした事のない約束を破った事なんて一度としてない。
暇だからって理由で此処に来ていたが今となっては高尾に会いたいから。
それが主な理由だ。
言った事ねーけど。
「明日はもう少し早く来てください」
「気が向いたらな」
会う約束はしても詳しい時間は決めていない。
俺も気まぐれに色んな所へ立ち寄っているからこの時間ってのは無いんだよな。
少しだけ、ほんの少しだけ下げられた頭を撫でてやれば高尾は小さく頷く。
思わず抱きしめたくなったが撫でるだけで留まった俺を褒めて欲しいぐらいだ。
「宮地サン」
「なんだよ」
「寒いです」
「羽織着ろって」
「寒い」
目を合わせないまま高尾の視線は俺の背中、九つもある尾の方へ向いていた。
溜息を吐けば伸びてきた手に俺はもうどうにでもなれって感じだ。
腰を下ろせば高尾は尾の一つに抱きつくもんだから俺は他の触られていないそれで俺より細い身体を包み込んでやる。
「寝るなよ」
「それは分かんないです」
「じゃあ離れろ」
「それも嫌」
「お前な、殴って欲しいのか?ん?」
「宮地サンのこれ、好きです」
思わず息をする事さえ忘れてしまった。
これって言うのは勿論俺から生えている無駄に毛の多い尻尾の事だと思う。
気持ちよさそうに目を閉じる姿を見て何も感じなかった訳じゃない。
寧ろ心臓に悪い。
「むっ、ちょ、宮地サン、くる、しっ」
「お前…マジで何なんだよ…」
なんか疲れてきた。俺がこれだけお前に触るのはやめようとか考えてると自分から近寄ってきて。
どうせ俺が顔見せろって言うとまた全力で拒否るんだろ知ってる。
苛つくから使っていない尾を使って高尾の顔を覆ってやった。
大丈夫。こいつこれぐらいで死ぬかよ。
「ぷは、くるし」
「好きなんだろ、この尻尾」
「好きですよ」
俺じゃなくて、この尻尾が。
小さい奴だとか言うな。
我ながら鬱陶しいなと思いながらも我慢してんだよ。
未だ尻尾に絡まる高尾を横目に俺は暗くなってきた空を見上げる。
嫌な風とでも言うべきか。
また他の所から何かが入り込んできた。
気配が一つ二つと増えていく。
目指すなら此処になる。
神聖な場所だって言うのに他の穢れた奴らが踏み込んで良い場所じゃない。
高尾には二度と血に関わって欲しくない。
血だまりの中突っ立てる姿は正直、普段の姿とかけ離れていて寒気すらした。
「早く寝ろ」
「…もう少しだけ」
「明日また来てやるから」
返事はなかったが腕の力が強まった事だけは分かる。
宥めるよう、髪を撫でれば暫くして小さく動いた頭。
離れた腕と身体をもう一度抱き締めたくなったがそれよりも得体のしれない何かが気になった。
万が一高尾に何かあった時、俺はきっとこの山毎燃やしてしまいそうな気がする。
「約束」
「また明日な」
「宮地サン……気を付けて」
「早く寝ろよ」
社から離れて山を下りながら俺は意識を集中させる。
普段から千里眼を使っている訳でもない。
無駄なものは見ないようにと心がけているからだ。
それでも山に良くないものが入ってこれば臭いで分かる。
夕闇も姿を消し星が瞬く空を見上げるといくつかの気配と血の臭いに俺はすぐ鼻を覆った。
「気分わり」
冬の間、獣たちは冬眠するから良かったと言うのに最近この山では良くないモノが近付く事が多い。
眠れなかった動物か下級妖怪か。
それはどうだって良い。
けど高尾に近付くことだけは許せない。それだけだ。
鬱蒼と茂った林を抜け川辺へと出れば獣ではないぎらついた目が囲んでいた。
「この山で悪さすんじゃねーよ燃やすぞ」
周りの酸素を巻き込んで俺の手のひらから腕に淡紅の炎を纏わせる。
最近は毎日のようにこの山を荒らしに来る奴らだ。
脅しじゃなくて本当に燃やした方が良い。
地を蹴り手近な奴から地面に押し付けてやりあとは一気に火力を上げた。
汚い断末魔と共に消し炭にされるその様を見て蠢いた影が一斉に襲いかかってくる。
数で勝ってもお前ら如きに負けるかよ。
九つの尾にも炎を纏わせ火柱を作ってやれば今度は声を上げる間もなく朽ち果てる。
「見事見事」
「てめ、居るなら駆除ぐらいしとけ」
「宮地がやる気やったから傍観決め込んだんやで?」
月明かりの下でも分かる胡散臭い笑顔に神経を逆なでされる。
山伏装束に身を包み背中から黒い羽毛が生えた烏天狗がそこに居た。
木の上で見下すその姿はいつ見ても変わらない。
「何お前此処に居座るつもりかよ」
「偶然此処通ったら気味の悪い気配したから立ち寄っただけ」
「今吉が言うと胡散臭いだけなんだが」
「ひっど。それに前言うたやろ。宮地に任すって」
何でこいつが烏天狗なんだか。
人を騙す点では狐よりよっぽど狐らしい。
飄々とした態度と話し方。
それでもこいつは天狐と同一の存在らしい。
誰が決めたか知らねーけどよ。
「結界緩んでるみたいやな」
「ちっ…誰だよ焼くぞ」
「…なぁ、もしも人間が妖怪みたいな力を持っとる場合、宮地なら」
気付けば月明かりの下でも分かるほど胡散臭い笑い方をした今吉の胸ぐらを掴んでいたから。
何よりその先の言葉を聞きたくなかった。
俺なら、どうもしない。
結界が緩んでるならまた造り直せば良いだけの話だ。
「ほんま冗談通じんな。俺は結界だけ張って帰るわ」
手を離せば黒い羽を落として飛んでいく姿を追えなかった。
浮かんだまま消えない。
社に祀られるように居る姿と血で汚れた高尾の横顔。
今まで何事もなかった。
原因があるとすれば。
思い当たる節も心当たりもある。
直接見た訳じゃない。
けど、あれは高尾が殺したのだと本人も言っていた。
仮に、あいつがそんな力を持っていたとしても。
だから何だと言う話だ。
今までこの山に高尾が居て何か困った事があった訳でもない。
今回だって別にアイツが原因だと決まった訳でもないんだ。
穢れた人間の腐った血は瘴気と化す。
あぁ、だからあいつは今吉は苦手だ。
それより後ろめたさのある俺が一番嫌だ。
一瞬でも高尾を疑うとか。

春の気配が強くなる。
また少しずつこの山が賑やかになってきたと話せば高尾は嬉しそうに鳥居の方へと進んだ。
「今度山菜取りに行きましょうよ宮地サン」
「一応着替え持っていけ。雪解けで道濡れてるしよ」
「俺が転ぶ前提で話すの止めません?」
「まだ慣れてねーんだろ。特に太陽」
うっすらとしか届けられなかった光。
今ははっきりとこいつに届いている太陽の光。
前までは無かった。
目が慣れていないから、ふと上を見た時、眩しさに足元を滑らせた事がある。
「少しずつ慣れてきてんですけどねーまだ、いまいち」
「だったら無理すんな」
「宮地サン、ほんと優しいですよね」
「何当たり前の事言ってんだよ」
「ぶっは。確かにそうでした。すみませーん」
砕けた話し方になって笑ったその顔を見てどれだけ安心した気持ちになった事か。
影一つ曇一つもないその笑顔を見て、昨日の言葉を思い出しては完全に違うと否定した。
鳥居から一歩二歩と出て行く高尾は目を閉じながら空を仰ぐ。
「でも俺、少しずつ…っ、」
「無理すんなって言ったよな」
後ろから手のひらで高尾の目元を覆う。
まだ直接的な光は駄目だって言ってんのに。
「宮地サン、心配しすぎ」
「そう言ってこの前転んだのは何処の馬鹿だよ」
「…俺です」
上を向いたままの顔をそのままに目元を覆った手を頬にずらしてやれば。
まだ昼間だって言うのに。
そこだけは夕焼け色をしている。
「っ、な、なに、して」
「お前さ、何で目合わせねーの」
覗いた目は隠すものも無くて、上から覗いてやった。
こういう時、高尾が小さくて良かったと思う。
焦ったようにすぐ目を逸らしやがって。こいつ。
「ちょっ、と…ほんと、無理」
「俺の事、嫌い?」
「はぁ?」
言いたくなかったのに。
昨日の烏天狗の所為で余計な事聞いたかもしれねー。
これで、肯定されたら明日から、いや、今から気まずい、って話じゃない。
「俺…」
「何」
今更怖くなって手を離す。
指先に伝わっていた熱が離れて余計不安になった。馬鹿か俺。
まともに目を合わせてくれたのはこいつにまとわりついた術式を解いた日だけ。
風の音がやけに耳について思わず耳を折りたくなるのに高尾の声だけは逃さないようにと動く。
とんだ矛盾だ。
「その…」
「俺の正体がこんな気味の悪い狐だったから見たくないか?」
顔が見れて良かったとは言え、やっぱり最初は戸惑ってたよな。
無理もないと言えばそうなんだけどよ。
俺は本当に馬鹿だ。
自分よりも全然若い奴の言葉に喜んで怖くなって。
「ちがっ……全然、ちがう」
「高尾?」
背を向けられたまま震え出した声に伸ばした手はだらりと落ちる。
今日は珍しく羽織を着た肩は薄くて抱きしめたら折れそうだって考える俺は全く不純な考えしか持ち合わせていない。
春の風はより一層強くなって髪が揺れる。
俺は馬鹿みたいに高尾の言葉を待つ事しか出来ない。
「その…っ、アンタが……見てくると、恥ずかしくて」
ゆっくりと振り返る高尾の顔は黒い髪で隠れ、そこから覗く夕焼け色の目は何時にも増して潤んでいた。
今、なんつった?
「よく、分かんないんです、よ…俺も。今まで、真っ直ぐな視線、送られた事なくて」
申し訳なさそうに下がった眉。
今まで絶対に合わせようとしなかったのに窺うように見上げる視線に
「見るなって言われた事あっても、見ろとか、初めてでっ」
身体が勝手に動いていた。
馬鹿なのはどっちだ。俺かお前か。あぁどっちもか。
なんて理由だよ。
今までの事を考えれば納得がいくんだが。
これだから難しく考えるのは嫌なんだ。
「…ほんと…お前、殴りたいし焼きたい」
「ご、ごめんなさい」
本当にやる訳ねーけど。高尾以外なら容赦なくやるけどよ。
深く息を吐けば何処か戸惑いながらも背中に回された腕に、やっぱり力の加減なんて忘れてしまった俺が居た。
どれぐらいの時間そうしていたのか分からない。
漸く気持ちも収まってきて次は、やっぱり今までずっと拒まれ続けてきた事をやりたいと言う欲求だ。
腕の力を緩めると高尾も今から何をするのかって分かったみたいで途端に身体が強ばる。
「嫌か?」
「っ…」
おずおずと、怯えた子供みたいに。
それでも俺の着物は離さないようにと震えた指先と吸い込まれてしまいそうな綺麗な瞳が。俺を捉えた。
目が合うと揺れて。
それでも逸らす事なく俺の反応を待つ姿に。
何も感じなかった訳じゃない。
身体の奥から湧き上がる衝動を抑える事に必死で。
漸く逸らされずその瞳に自分の姿が映った事が嬉しくて。
「み、やじ、サン?」
そんな声で呼ぶな。
顔を近付け、そのまま額同士を合わせれば少しだけ陰りを見せた夕焼け色。
いよいよ恥ずかしくなったのか瞼の奥へと隠れてしまった。
触れた箇所から熱が伝わってきて、その普段より高い熱に俺は小さく口元を緩める。
「今度目を逸らしたら尻尾触らせてやらねーから」
「それはっ、狡い」
「だったら頑張ろうな。好きだろ、この尻尾」
顔を離して俺は自分の尾を一つだけ掴み意地悪く笑ってやれば社の中へと戻っていく。
酷いとか狡いとか言いながら後ろを付いてくる高尾にまた少しだけ口許が緩み静かに目を伏せた。
俺の気持ちも知らないで。
これぐらいの意地悪なんて許せ。

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