※前世の私と桃色少女の青峰視点
「さおり、これ貰うぞ」
一言だけ言ってこいつが準備していたドリンクを一本掻っ攫う。
冷えたそれはバスケで暑くなった身体にはとても最適で、ごくごくと一気に渇いた喉を潤して一息つけば、さおりはドリンクを用意していた手を止めて振り返った。
「お疲れさま、大ちゃん」
そう言って笑うこいつは、小さい頃からの付き合い…俗に言う幼なじみって奴で。
昔から頭の良いこいつは、この帝光中バスケ部のマネージャーとして、十分過ぎる程の力を発揮して部に貢献している。正直、こいつはあまり敵に回したくはないが、でもそれはそれで楽しいバスケが出来そうだな、と胸が高鳴る自分もいる。
…今度赤司に提案してみるか。
そんなことを考えながら、ドリンクのボトルに口を付けながらさおりの顔を伺うと、その表情に一瞬息が詰まる。
「(また、かよ…)」
昔からさおりは、時々何か諦めたような…そんな哀しそうな表情を浮かべることがある。
俺はこいつのこの表情が嫌いだ。まるで今にも消えてしまいそうで、少し目を離した隙に居なくなってしまいそうで。そんなこいつの顔が見たくなくて、気付けばさおりの頭を鷲掴みにしていた。
「っ、何するの!」
「っせーな、お前がまた情けねー顔してるからだろ」
抗議の声を上げるさおりを無視して返せば、自分がどんな顔をしてたか悟ったのか大人しくなった。
かと思ったら今度は何だか生温い目で俺を見上げ始めたやがったので、頭に置いた手をそのままにさおりの髪を乱してやる。
再三抗議の声を上げるこいつの顔には、もう俺の嫌いな表情は欠片も残っていない。
「ったく、あんな顔してたらただでさえ不細工な顔が更に不細工になんだろ」
「失礼な!この(桃井ちゃんの)顔が不細工な訳ないでしょう!」
「自覚済みかよ!質わりーな!」
こいつが何をずっと抱えてるかは知らねぇ。気にならない、と言ったら嘘になる。だけど、話したくないって言うなら話せるようになるまで待っててやるから――
近くて遠い、
(だから、)(勝手に居なくなったりすんなよ、さおり)
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テツくんに会う前だからピュア峰くんにしなきゃいけなかったのに、ただの青峰くんな件について。いや、口調が掴めなさすぎて青峰くんなのかも微妙…
ピュア峰くんが掴めなくて…いつか余裕が出来たら直しますごめんなさいorz
20120909