さっきからいましたけど



「黒子くんを驚かそうと思うの」


とある放課後の体育館。練習に励んでいた誠凜バスケ部のメンバー達が、休憩にと各々スポーツドリンクを口にしていた時だった。
誠凜バスケ部マネージャーである彼女が突拍子もない事を言い出したのは。


「で、どうしてそういう話になったんだ」


彼女―名字名前は木吉と同じ種族であり、不本意ながら扱い方になれている日向が溜め息混じりに口を開く。
因みに当事者である黒子は図書委員の当番で練習にまだ来ていない。


「だっていつも黒子くんにはミスディレクションで驚かされてるのに、黒子くんが驚くとこ見たことないのって不公平じゃない!」


キリッと至極真面目に応える名前にどこから突っ込もうか、とバスケ部員達は一人を除き心を一つにした。そんな中空気を読めない者が一人、


「確かに…不公平だな!」

「お前は話ややこしくなるから喋んな!!」


名前の言葉に同じく真面目な顔で応えた木吉に日向はありったけの力を込めて殴った。
この天然コンビが組むと手を付けられないため、何としても阻止せねばと日向は使命に燃える。そんな日向の思いを知らない木吉は殴られた頭を摩りながら、再び名前に話かけていた。


「具体的に何をするんだ?」

「うーん、黒子くんだけボールをサッカーボールにするとか?」

「うん、練習と変わらないな」

「じゃあバッシュに画鋲を入れるとか!」

「それはイジメだ!!」

「じゃあ毬栗入れる」

「なんで毬栗!?」

「黒子が栗でびっくり…キタコレ!」

「キテねーようぜぇ!!」


的確に突っ込みを入れていく日向だったが、悉く提案が却下されたことに拗ねた名前が「文句ばかり言うなら日向くんが考えてよ!」と理不尽なことを言い出す始末で苛々が積もっていく。
完全に日向のスイッチが入りクラッチタイムに突入するか、と誰しもが思った時、名前は何か閃いたようで表情を明るくし手を叩いた。


「そうだ!黒子くんがいつも読んでる本をエロ本に変えるっていうのは!?」

「「「「ぶっ!!!」」」」

「お前っ、女子なんだからもう少し恥じらいを持て!」

「え、なんで?」


心底意味が分かりませんと言うように首を傾げる名前に、日向はがっくりと肩を落とた。
その日向の背中はもう突っ込み疲れたと物語っているようだった、と後にメンバー一同は語る。


「でも黒子がびっくりするの想像つかねーな」


火神の呟きに、確かにとバスケ部メンバーは皆頷く。
いつも何が起こっても冷静に反応する彼が、本をエロ本をすり替えられただけで驚くとは到底考えられない。かと言って、エロ本を見て恥ずかしがる黒子も考えられないが。

そんな彼等の思案を知らない名前は、エロ本で驚かすという路線に決定したのか張り切っている。


「とりあえずエロ本を持ってこよう!部室に何かしらあるよ「あの、そういう事されるのはちょっと困ります」


いつの間にか名前の真後ろに立っていた水色の彼に驚き、体育館に大声が響き渡るまであと1秒。何時から居たのか皆が口を揃えて問うまであと――



さっきからいましたけど
(また黒子くんばっかり!ずるい!)
(そんなこと言われても…)(それより女性がエロ本とか連呼しちゃダメだと思います)

(勿論彼女が言い出したドッキリ作戦が、実行される前に失敗したことは)(言うまでもない余談である)



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このお題を見つけた時「テツくんのためのお題だ…!」と思いました(笑)
しかし黒子夢にするはずが誠凜夢になってる件について\(^o^)/図書当番は捏造です…当番あるのかな。

ヒロインと木吉の天然タッグに翻弄される日向…とても楽しかったです(笑)しかし無駄に長くて途中で力尽きました。終わり方中途半端ですみませ…

エロ本にすり替えられた黒子くんの反応は「誰ですか?こんなことしたのは…」と静かに怒るに一票←


20120630

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