それは、物語の一ページ(犬神)


※いぬぼく7巻ネタ


暗くて、狭くて、冷たくて。
気付けば私は此処に居た。どのくらいの時間私は此処でこうしているのだろう。分からない、私には何も分からない。
どうして私は此処に居るのか、どのくらい私此処に居るのか、

私は一体ダレなのか、それすらも――


「名前」


振り返れば一人の少年の姿。
彼に呼ばれる事で、私は自分の名前を思い出す。そうだ、私は名前という人間なんだと。自分の名前以外は何もない空っぽな人間なんだと。
でも、こんな空っぽな私が空っぽじゃなくなる時がある。


「命、待ってたよ」


私がそう微笑むと、彼は慈しむような哀しむような笑顔を浮かべて言った。


「また沢山の物語を届けにきたよ」


彼が届けてくれる沢山の物語。それが空っぽな私を埋めてくれる。満たしてくれるのだ。楽しくて、哀しくて、温かくて、冷たくて、明るくて、仄暗くて、そんな物語で私はいっぱいになる。


「ねぇ、名前」

「なあに?命」

「……寂しい?」


眉を下げ私に問う命に首を傾げる。こんな命は初めて見る。いつもは自信満々でちょっぴり口が悪くてでも優しい。そんな命が何を悩んでいるのか分からない。けれど、これだけは言えるよ――


「ううん、だって命が物語を沢山届けてくれるもの。だから私、寂しくなんてないよ」


だから、ねぇ。

早くお伽話(はなし)を聴かせて――





それは、物語の一ページ
(その物語が何の上に成り立っているのか、)
(それを、)(私はまだ知らない)




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何だかよく分からない文章が出来上がった…そして命くんが偽物すぎる…。
いぬぼく7巻を読んだ勢いでカッとなって書きました。命くん可愛い。

勢いとフィーリングだけで書いたので(…)矛盾とか意味分からないとこあっても見逃してあげてくださいorz


20120629

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