ハニートラップに溺れる(黄瀬)




「……これは、どういう…?」


朝起きると見たことのない部屋…なんてことはなく、此処はまごうこと無く私の部屋だ。念のためもう一度部屋をぐるりと見回す。うん、私の部屋だ間違いない。

部屋を見回した後、今度は自分が寝ていたベッドに視線を移す。私の隣には男の子が寝てる。確かこの間仕事の時に知り合った子だ。
そして自身の格好を見る。私は下着も何も身につけていなく生まれたままの姿だった。隣で寝てる彼も胸の辺りまでしか見えないが、きっと私と同じような格好をしているんだろう。極めつけはこのガンガンと殴られているかの様なこの頭痛。
それらの情報を整理した結果導き出される答えは一つしかない。


「(私、酔った勢いでこの間知り合ったばかりの男の子と寝たのか…)」

「…ん…あ、おはようっス名前さん」

「………おはよう、黄瀬くん」


悶々と考えてるうちに隣で寝ていた彼も目が覚めたようで挨拶を返す。なんか彼、普通すぎやしないだろうか。女の子に人気のモデルだしこの容姿だし、こういう状況に慣れているのかもしれないと自己完結することにして。
もう一度隣で寝ている彼を見れば、まだ眠そうに目を擦っている。しかし、見れば見る程綺麗な顔をしていると思う。布団から覗く上腕なんか良い感じに筋肉が付いていてるし。そういえばバスケ部とか言っていたっけ。高校生だもんなー。青春だよなー…って、

高校生――?


「は、犯罪だ……」

「ど、どうしたんスか!?」


ずうん、と見るからに落ち込み私を見て黄瀬くんは慌てていた。そりゃあそうだ、黄瀬くんみたいな男の子と寝てこんなに落ち込む女なんて私くらいなものだろう。
しかしいくら記憶飛ぶくらい酔っていたからって高校生に手を出すなんて…自分が情けない。


「ご、ごめんね黄瀬くん。私、昨日の記憶が無くて…」

「え、覚えてないんスか!?オレ、初めてだったのに…」

「う、嘘!?」

「嘘っス」

「ちょ、びっくりさせないでよ!責任取らなきゃって焦ったじゃないの!」


安堵の息を吐くと黄瀬くんは何が可笑しかったのかシーツに顔を埋めて「責任って…」と呟き笑いを堪えている。
私は全く笑えないわ…。


「けど、ふーん。何にも覚えてないんスか?」

「綺麗さっぱり何も…黄瀬くんに会った記憶も正直曖昧で…」

「そんな前からっスか!…あーんな事やこーんな事したのも全部?」

「……ごめんなさい(私何を仕出かしたんだろう)」


よっ、と声と共に上半身を起こした黄瀬くんを見ると、布団が滑り落ちて綺麗な上半身が露わになっていた。よく考えたら私も何も来てない状態だったのを思い出して急に恥ずかしくなってくる。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、人懐っこい笑顔を浮かべた。


「名前さん、この事知られるとマズイんスよね?」

「う、うん。だからこの事は誰にも喋らないで欲しいの…勿論、埋め合わせはするから」

「今の言葉は忘れないで欲しいっス」


――え?
彼の笑顔に違和感を覚えた時には彼の顔が近付いていて、私の髪を一房取り口づけていた。嗚呼、そんな仕草も様になってるなと遠くで考えつつ、


「明日から楽しみっスね、名前さん」


そう笑う彼に、私は大変な子に手を出してしまったと後悔するのと同時に、激しく昨日の自分を殴りたくなった――



ハニートラップに溺れる
(あ、やっぱり今日からで)(もう一回ヤりたいっスー!)
(え、ちょ、待っ…!)



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自分の年齢とキセキ達の年齢を考えて「手出したら犯罪だなぁ…」と思って思いついたネタ(笑)

黄瀬くんが実は確信犯とかだったら美味しいなぁ…^p^後日職場で一緒になって…とかいう話も時間があったら書きたいです。


20120628

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