愛玩人形(槙島)


※元ネタはこれ
※故に呼称固定してます
※時間軸が目茶苦茶



「聖護、」


静かな部屋に鈴を振るような声が響く。今頃猟犬達に殺されているだろう彼を頭から追い出して視線をずらせば、愛しい少女が此方を窺っていた。
僕が彼と話している間に帰ってきたようで、おいでと声を掛ければ怖ず怖ずといった様に僕の元に来る彼女。いつも声を掛ければすんなりと僕の元に寄ってくれるのに、


「どうしたんだい?真白」


ふわふわと綿菓子の様に柔らかい髪に指を滑らせてから、彼女の頬へと手を移動させる。零れ落ちてしまいそうなくらい大きな双方のマラカイトは僕をだけを映していて、背中をぞくぞくと何かが走る感じがした。


「真白も、空っぽだから要らない?」


小首を傾げながらも表情を全く変えずに問う彼女に思わず瞬きをする。


「嗚呼、さっきの話を聞いていたんだね。もしそうだとしたら、真白は哀しいかい?」


質問に質問で返せば、彼女は眉を下げて分からないと呟く。彼女の反応を少し残念に思いながら彼女の頬に口づけをひとつ。
続けて彼女の身体に手を這わせれば、ふと袖口から覗く白い包帯が目に入った。


「……これは?」

「男にナイフで切られた」


その男はと尋ねれば、男は既に公安局のドミネーターによって殺されたらしい。
白い包帯を外せば白い彼女の腕に塞がり掛かった一本の深い傷。
嗚呼、その男はこの手で殺したかったけれど、死んでしまったものは致し方ない。それにしても、


「真白は悪い子だね」


彼女の傷口に舌を這わせ開く様に抉る。すると塞がり掛かっていた傷口は開き血が滲み始めた。
それを啜れば口の中いっぱいに鉄の味が広がる。


「君は僕の物だと普段から言っているよね」


そのマカライトのような瞳も、綿菓子のようにふわふわとしてる髪も、流れる血の一滴すら全て僕の物だ。彼女を拾ったあの日から――名字名前から真白となったあの日からずっと。

傷口から唇を離し真白を見下ろす。傷口を抉られたにも関わらず、眉一つ動かさないで僕を見上げる彼女。
喜びも悲しみも痛みすらも感じない彼女は何を思い、何を考えているのか――とても興味深い。


「嗚呼、悪い子にはお仕置きが必要だね」




愛玩人形
(何時かその色相が)(黒く濁る瞬間を見るまでは、)

(僕が彼女を捨てる事はないだろう)


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犯罪臭しかしない…いや、犯罪者だけどもw

最近ずっとネタで上げたヒロイン設定で長編を練ってたんですけど、まさか槙島さんのサイコパスがオフホワイトだとは思わなかったよ…(遠い目)
サイコパスが白いなんて珍しいから拾った…って考えてたのに当の本人が真っ白だよ…どうしよう(笑)

お蔵入りにするのは勿体なかったので、書きかけてた短編だけ仕上げてみました。
続きの「お仕置き」も書きたかったんですけど…犯罪臭しかしない裏になってしまうので断念(笑)


20121231

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