※百合夢
※しかも病んでる
「ねぇ、璃華子」
右に向き直り、隣で横になる彼女に声を掛ける。素肌を滑るシーツが心地良く、目を細めながら彼女の返事を待つ。それまで仰臥位で寝ていた璃華子は、何かしらと私の方へ寝返りをうった。
「私、ずっと寂しくて…胸にぽっかりと穴が空いてしまったようで苦しいの」
「どうしたの名前?何かあったの?」
心配そうに尋ねる璃華子に沈黙すれば、私には話せない?と彼女の綺麗な指が私の頬を撫でる。
「お願い名前、話して頂戴。私に出来ることならなんでもするから」
「……本当?」
「本当よ。だって私達親友でしょう?」
「ありがとう、璃華子」
微笑む璃華子に釣られて私の口角も上がる。じゃあ一つお願いがあるのと話せば、私に出来ることならねと念を押すように笑う璃華子。大丈夫璃華子なら…ううん、璃華子にしか出来ないお願い事。
私の頬に添えられた璃華子の手に、そっと自身の手を重ね口を開く。
「 」
璃華子の目が大きく開かれる。嗚呼、そんな驚いた顔も素敵よ璃華子。
「何…を、言っているの…?」
「私は気付いてないと思った?ばれてないと思った?璃華子と一緒に居た時間は伊達に長くないわよ」
私だけ仲間外れなんて酷いじゃない。
私も、璃華子の芸術品になりたいのに。これから先老いて朽ちるくらいなら、私は璃華子の手で美しいまま永遠になりたい。璃華子のその美しい手で生まれ変わるの。嗚呼、なんて素敵なことかしら!
「私に…名前を、殺させるつもり…?」
「違うわ。私は璃華子の手で芸術品に生まれ変わるの。そして永遠を生きるのよ」
ねぇ、それってとても素敵なことだと思わない?と璃華子に同意を求めれば、揺れていた璃華子の瞳に灯る僅かな焔。
やっぱり、貴女は生粋の芸術家ね。
「ねぇ、璃華子。
私達――親友だものね?」
とびきり綺麗にして頂戴ね
(貴女の一番の傑作だったって言われるくらいに)
(勿論よ)(そう言って微笑む璃華子の顔は、)(芸術家の顔へと変わっていた)
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裸で同じベッドに横になってて親友って…って自分で書いてて突っ込みたくなりました(笑)
百合な上に病んでるとか完全な誰得俺得ですが、これ書くのすごく楽しくて…執筆の手が途中で一度も止まらなかったのは久しぶりです(笑)
20121127