Winter Blossom(藍)


※悲恋というか死ねた


最初は、ただの後輩だった。
ショウやナツキと同じ指導すべき対象としか思っていなくて。そんな彼女が今ではこんなにも僕の大半を占めるだなんて誰が思うだろう。

僕はロボだ。感情なんて持たないし、好き嫌いの判別だって複雑過ぎて有益か無益かの判断をするのがやっとだった。
だから恋だの愛だのの感情は、僕には無縁だと、そう思っていたのに。


「藍先輩、」


何時から、ひたむきに音楽に取り組む彼女の姿を眩しいと思うようになったのか。
何時から、僕の名前を呼ぶ彼女が愛しいと…何より大切だと思うようになったのか。
突然芽生えた心や感情に、戸惑いながらも受け入れることが出来たのは全て彼女のお陰で。
この感情は、心は、

何より大切なんだ。


「ど、して…どうして、何も言ってくれなかったんですかっ!」


僕の身体は処理出来ないことが起こると警報音とともにショートを起こす。そう、芽生えた心や感情に、この身体は付いていくことが出来なかった。
そして壊れていく身体を止める方法はただ一つ。

僕の、初期化だ。

それは即ち、僕のこの記録を全て消すということで。ナツキやショウ散々振り回されたことも(どちらかと言えば主にナツキが原因で、ショウは被害者な気がしないでもない)、彼女を愛したことも、全て最初からなかったかの様に消えてしまう。
そんなの、壊れることと同義だ。

傍らで泣きじゃくる彼女の頬に手を伸ばそうとして止める。僕の身体はショートを起こして体温が上昇しているから、触れたら彼女を火傷させてしまう。
愛しい彼女の涙を拭うことも、抱きしめることも出来ないなんて。


「まった、く……情けない顔してないでさ」

「…っ、藍せんぱ、の…せいじゃないですかっ」

「そ、だけどさ…君の泣き顔を、最後のメモリーにさせる気…?」


ねぇ、笑ってよ。
そう告げれば零れる涙を必死に笑顔を作る彼女。全然涙堪えられてないし…笑ってるんだか泣いてるんだか分からない不細工な顔してさ。
もう本当に、


「君が、好きだった」


僕がそう伝えると、大きな瞳を一瞬見開いた彼女は大粒の涙を零しながら、でも穏やかな笑顔を浮かべながら私もですと囁いた。

このまま時間が止まればいいのに…本当神様って無慈悲だよね。

内心ごちりながら、もう見えなくなってしまった彼女の顔を想う。

次々と停止していくプログラムはもう止まることはない。それでも、僕は忘れない。例え、この身体が朽ちたとしても、君への想いも、今日という日も、絶対に忘れたりしない。


だから――



Winter Blossom
(願わくば僕のこの想いが、)(君を守りますように)


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藍ちゃんのキャラソン聴いたらたぎるしかなかった。悲恋ソング好きとしてはもうドストライク過ぎて…未だに曲聴いてると泣きます。
藍ちゃああああ(´;ω;`)

AS早くプレイしたいです…!
藍ちゃんを幸せにしてあげたい…!


20120913

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