04



「渚くん、ご飯一緒に食べよう!」


お昼ご飯を片手に渚くんの席に近寄る。渚くんの前の席である前原くんに断って椅子を借りている間、渚くんは鞄から昼食を取り出す。
机の上に乗った昼食を見て私は口を開いた。


「またパン一個だけ…成長期なんだからもっと食べなきゃダメだよ!」


渚くんが鞄から取り出したのは、コッペパン一個と飲み物だけ。それじゃあ大きくなれないよ!と言おうとして慌てて口を噤む。そういえば渚くんに身長の話は禁句だった。
食事をたくさん食べるようになって、身長180センチとかになった渚くんを想像する。…うん、それはそれで何か嫌だ。

やっぱり渚くんは可愛い今のままでいいや、いや寧ろ今のままでお願いします。


「…その言葉そっくりそのまま笹原さんに返すよ」


一人で自己完結していると、苦笑いをしながら私の手元を見る渚くん。私の手には山吹色の箱の栄養調整食品とお水。


「僕のパンより笹原さんのそれの方がご飯っぽくないよ。ちゃんと食べないと」

「……私はもう成長期過ぎたからいいの」

「どういう理屈?!」


今日も渚くんのツッコミは冴えてるなぁ、と私が山吹色の箱を開けると、渚くんも私に呆れつつペットボトルのキャップに手を掛ける。
すると、誰かが渚くんの名前を呼んだ。


「ちょっと来いよ、暗殺の計画進めようぜ」


そう言って笑うのはクラスメイトの寺坂くん。うちのクラスの中では俗に言ういじめっ子に分類される彼とその取り巻きには、正直あまり良い印象がない。

こいつに渚くんとのお昼を邪魔されるなんて…!

今なら殺気が出せそうな気がする、と寺坂くんを睨むと今度は渚くんが私の名前を呼んだ。


「ごめん、ちょっと行ってくるから先に食べてて」


そう言って席を立った渚くんの後ろ姿を見送る。あいつ等と一緒なんて凄く凄く心配なんだけど…大丈夫かな渚くん。
渚くんを心配しつつ、最早ただの栄養補給となっている味気ない食事を口へ運ぶ。そして、更に一口。


結局、渚くんが教室に戻って来たのは、昼休み終了間近のことだった。



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