03



銃と床に散らばった弾も片付け終わり今日も授業が始まる。ホームルームはあんな感じだが授業は至って普通だ。


「そこで問題です木村君。この四本の触手のうちの仲間外れは?」


触手をうねらせる担任を除けば、だけれど。

木村くんが問題を正解し、先生の顔に丸が浮かび上がる。あの顔の仕組みは一体どうなっているのやら。考えたところで答えは分からないし、大した興味もないので、その思考は直ぐに閉ざされた。
ふと渚くんに目を向ければ、隣の席と茅野さんと何か話した後窓の外を見上げたため私もそれに倣う。

昼空に浮かぶ三日月。

月が爆発して7割り方蒸発してしまったとニュースになったのは確か今年の4月頃だ。一生三日月しか見れないと、連日このニュースで持ち切りだったのは記憶に新しい。
そして、それと同時期に私達の担任はこの教室にやって来た。


“初めまして、私が月を爆(や)った犯人です。来年には地球も爆る予定です”


君達の担任になったのでどうぞよろしくという地球外生命体(本人は生まれも育ちも地球と言っていたが、どう見ても宇宙人にしか見えない)に、どうしてそうなったと誰もが聞きたかったことだろう。

国家機密として防衛省の人に話されたのは、来年の3月地球を爆破する予定だというこの生き物を暗殺して欲しいということ。暗殺の成功報酬は百億円で、地球爆破等各国首相しか知らないこの情報は、家族等には絶対に漏らしてはいけないということだった。


パン、


突然鼓膜を響かせた発砲音に意識を浮上させれば、禁止されている勉強の妨げになる時の暗殺を行い、怒られてる中村さんの姿が視界に映った。

くるりとペンを回す。
先生がこの教室に来てから幾らか経ったけれど、私は未だに実感が湧かない。
百億円も、来年の3月に地球がなくなるということも、何処か遠くで他人事のようにしか考えられない私は、冷めているのか、それとも――


そこまで考えた時、昼休みを知らせるベルが鳴り私はそっと教科書を閉じた。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -