08



最近、よく視線を感じることがある。


それは、学校の中だったり外だったり、将又家の中だったり。
――本来そんな状態が続けば、気味が悪くて仕方ないんだろうけど、僕の場合は違う。何故なら、何となく犯人の目星がついてるからだ。


「渚くんおはよう!今日も世界一可愛いよ!」

「……うん、笹原さんは今日も絶好調だね」


いやぁそれほどでも、と照れる笹原さんに何処かデジャヴを感じながら苦笑を漏らす。
こうやって笑顔で話す笹原さんはごく普通の女の子で――とても、クラスで浮いている子には見えないのにな。

笹原さんは、僕以外のクラスメイトとはほとんど話さない。話し掛けられたら返すけれど、必要最低限の会話しかしないし、くすりとも笑わない。今、こうやって笑ってる彼女からは想像出来ないくらい無表情で周りと壁を作っている。
だから、僕が他の人と話している時は近くに来ないし、一緒に居る時に他の人が来たりした場合は、この間の杉野くんの時のようにそっと距離を取るか、終始無言になるかのどちらかだ。

勿体ない、と僕は思う。笹原さんは本当はとても良い子だから、もっとクラスのみんなにも笹原さんのことを知って欲しいし、同じ暗殺をする仲間だから、仲良くなれたらいいと思う。そんなことを言うと、笹原さんの顔が暗くなるから言わないけど。



話が逸れたけれど、最近、よく視線を感じることがある。
――それは、捨て身で殺せんせーの暗殺をしたあの日からで。


“渚くんは、私が守るからね”


泣きながら言った笹原さんの言葉が脳裏を過ぎる。あの時はその言葉の意味を聞くことが出来なかったけれど、つまりはそういうことなのだろう。


「……ねぇ、笹原さん」

「なぁに?渚くん」


あの視線について尋ねようと声掛けると、無邪気な笑顔で首を傾げる笹原さん。
この笑顔を見ると、色々問いたいことも全部泡となって消えてしまう。まぁ、うん、実害がある訳でもないし、このままでもいいかな。


「………って、感化されすぎじゃないかな僕…」

「?」


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -