サイコパスがオフホワイトな少女。
2012/11/23 23:24
「お前等、近付いたらこいつを刺すぞ!!」
興奮した男の腕の中に居る女の子を見て眉を潜める。
あともう少しで目の前の潜在犯を捕まえられると思ったのに、まさか立ち入り禁止にしたこの区域に女の子がいるとは思わなかった。結果、少女を人質に取られてしまい、私達は動けずにいる。
「分かったら銃を…「貴方は潜在犯なんですか?」
ドミネーターを置くしかないと思った時、口を開いたのは人質にされた少女だった。
ふわふわの髪は綿菓子の様に柔らかそうで、今にも零れ落ちそうな大きな瞳は自身にナイフを向ける男に純粋な眼差しを向けている。冷や汗が頬を伝うのを感じた。
この状態を分かっていない…?否、見た目14、5歳くらいの少女だ。そんなはずはないと思う。幼子ではないんだし…寧ろ幼子だってこの状況に陥れば、本能的に危険を感じ取って恐怖に泣くはずだ。
この少女は、何処か可笑しい。
「自主しましょう、おじさん」
「黙れ!」
「こういうことはよくないです」
「黙れって言うのが聞こえないのか!!」
苛立った様子の男がナイフを振り上げると、鈍色に光るそれが少女の腕を裂いた。流れる深紅を少女は目を真ん丸くして呟く。
「あれ、血が出ちゃった…止血しなきゃ」
痛みに顔を歪めることもなくあっけらかんとしている少女に、漸く違和感を感じた男はその少女が人質だということも忘れて後ずさる。
少女はそんな男の様子を理解出来ないようで首をこてんと傾げた。
「どうしたんですか?何か怖いのが…嗚呼、自主するのが怖いんですか。大丈夫です、まだ貴方は誰も殺してない。罪は軽いです」
少女が男にゆっくりと近付くと、男は錯乱し声を荒げる。それと同時にドミネーターの情報が更新されて。嗚呼、目の前の男は要らない存在だと認定されてしまったんだと、何処か遠くで考えていたら男の上半身は破裂した。
振り返ると咬噛さんが銃を構えていて、その早い判断力に息を吐く。
何はともあれ事件はこれで解決だ、と人質にされていた少女に声をかけ、サイコハザードが起きてないかサイコパスの色を見る。
そして少女の色を見て有り得ない、と私は無意識に呟いていた。
普通犯罪に巻き込まれた人は多かれ少なかれメンタルに影響がでてサイコパスの色が濁るはずだ。
なのに、目の前の少女はどうだろう。濁っていないどころか、サイコパスの色が真っ白だなんて今まで見たことがないし、聞いたこともない。
まるで、人間じゃないような――
「助けてくれてありがとうございました」
僅かな返り血にを浴びながらそう言って笑う少女は、とても可愛いらしいのに、気味悪く思えて私は息を飲んだ。
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此処まで書いて力尽きた(笑)
本当こういう夢何処かに落ちてないですかね…。
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