サイレント

眠りに落ちる前のテレビの砂嵐
冬のとても長く感じる夜
明ける朝への憂鬱

自分の中の世界をひっくり返してみても音楽が生まれてこなくて一度握りしめたペンを放り出して暖房もつけずにソファーに座って甘いココアを啜る。 何もない所から何かを生み出すのはとても楽しくてとても苦しい。海の中で今すぐに生まれたいともがく子供の様に、底は深く、足はつかない。干渉に浸るのは余計な事までを考えてしまうので好きではないけれど、でも彼と一緒に過ごす様になってから、孤独とは一体どういうものなのかを考える様になった。友達が碌にいなかった自分だけれど、音楽はいつも傍にいてくれた。音楽は裏切らなかった。彼はその音楽さえも否定してしまう様なそんな環境で育ちまた自分とは違う孤独を味わってきた。手を伸ばした先に何もないと思うから人は怖いのだ。そこに何時だって何かがある自分はきっと本当の孤独を知らない。
ほらやっぱり底の無い悩みはいくら考えても答えなど出はしない。溜息を一つ吐き出してカップをテーブルの上に置く。

隣に放っておいた携帯がただ震えている。
彼からだ。
音の無い世界、それはどんなに孤独だろうか。





up 2012/03/02


レン春を書こうとすると…






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