※先輩と春ちゃんが同期です、春歌が溺愛されてます俺得設定なので
ご都合主義やそういうのが苦手な方はリターンお願いします。
ちなみにSWEET☆DREAMの設定です。




―かき氷―





「じゃ〜ん!こんなの見つけたから持ってきちゃったよ〜ん♪」

楽屋の扉が何の前置きも無しに開かれるのはこの事務所ではそう珍しい事では無い。
むしろ扉が無事な事が不思議な位である。
このメンバーの中では一番最年長なのに一番騒がしい人物の登場にその場にいたほぼ一人を除く
メンバーはそれは迷惑そうに顔をしかめた。

「それ、何?」

余り興味もなさそうに座る春歌の髪をとかしつつ編み上げていた手を止めるでも無く
そう言った少年はチラリと視線をそちらへと向ける。

「ええ〜気になる?そりゃ〜気になるよね〜?」

反応を返したのは唯一二人だったが、他の二人はというと一人は机にその長い両足を乗せると
普段の温厚さは何処に忘れてきたのであろう様子で海外の雑誌か何かをひたすら開いて興味すら示さない。
もう一人はというと、楽屋の座敷の部分に寝転がって、否本当に眠っているのであろうこちらに背を向けたまま
返答すら返さない。ツンツンと跳ねた髪が少しだけしなっている。

「おかえりなさい、嶺二君!えっと…それはかき氷を作る機械、ですか…?」

髪をセットされながらもそちらへと視線を必死に向ける春歌にやっと反応して貰えた嶺二は
二人の目の前までやってくると、大荷物を一式広げ始めた。

「ただいま春歌ちゃん〜!暑い日が続いてるから〜お兄さんからの差し入れだよん♪」

「…かき氷…砕いた氷に甘いシロップが掛けられた所詮はただの氷だよね」
「アイアイってば現実的すぎるよ!!」

ドンと、テーブルの上に広げられた色とりどりのシロップに春歌は嬉しそうにそれを見つめる。

「凄いですね嶺二君てば何処で揃えてきたのでしょう?」
「…春歌はこんなものが好きなの?」
「そうですね〜夏と言えばかき氷ですよね、冷たくて暑い日には最適です!」
「…先程から騒がしいぞ、静かにせんか」
「あ、ごめんなさいカミュさん」
「…お前に言ったわけではない」
謝る春歌に間髪を入れずにそう言ったカミュは傍から見れば唯の二重人格にも見えるけれど春歌にだけは何故か甘い。
「うっせーぞ!さっきからギャアギャア!少しは静かに寝かせろって……」

カミュに続き、静かだった部屋が騒がしくなった事で目覚めたであろう蘭丸は苛立たしげに起き上がると
テーブルの上にあるものに目をやって固まった。

「藍君はどれにしますか…?」
「そうだな…僕は」
「春歌ちゃんも大分手馴れてきたよね〜ん」

楽屋が騒がしいのは何も今日に始まった事では無いけれど、大事な事なのでもう一度言えば
慣れというのは恐ろしいものである。

「…なんだ、これは…」
雑誌を放り傍へとやってきたカミュは機械を見るとまるで宇宙人でも見る様な目をしている。
「だ〜か〜ら〜かき氷を作るかき氷機だってば!」
「俺はブルーハワイ一択だ、早くしろよ嶺二」
寝転んだまま蘭丸が言い放つ。

ぎゃあぎゃあと騒ぐ横では春歌が氷をセットしている。
それを手伝う様に藍は上のハンドルを締めると受け皿をかき氷機の下に置いて。

ガリガリガリガリ

「おお〜!凄い音だね〜!」
「見ているだけで涼しくなります」
「僕は苺に練乳をかけるよ、春歌半分こしようか」
「わぁ、嬉しいですじゃあ私は…」
「僕はメロンにしようかな〜春歌ちゃん僕とも半分こしようよ〜!」
「はい!えっとじゃあまずは蘭丸君の分から」
「おい、俺のもやるからお前のも味見させろよ」
「…俺はシロップなどはいらんからな」
「また砂糖でもかけるの?」
「はい、春歌あ〜ん」

それぞれ自由に行動している筈なのに何故か最後はまとまっているのが
このメンバーの不思議である事も日常茶飯事なのである。



up 2012/08/13











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