※ストロベリー☆ナイトの番外編になります。
何時にもましてプリンス→→→春歌傾向強めです。
あくまで番外編なので色々ぶっ飛んだ内容になっています。
管理人の趣味が丸出しでも良い方のみ閲覧お願いします。
ちなみにコメディ成分が9割です。







「それではTV初披露になります、七海春歌さんで「Promise」です!」

司会の声が止むと同時に流れ出すイントロ。
それをメンバーは席に座り目を凝らして見つめる。彼女のCDやPVは視聴した事は
あったけれどこうして彼女のステージを見るのは始めてだ。
彼女も緊張しているのだろう、こちらにまで緊張感が伝わってくるのが分かる。

けれど目を閉じてマイクを握りしめていた彼女が次に目を開いた瞬間、
まるで先程までの彼女とは違う雰囲気が彼女からは発せられている様な錯覚を抱いた。

静かに歌いだすその声はやはり何処か心許ない灯火の様なのに、
その炎が消える事は無い、そんな芯の強さを感じさせる歌声だ。
息継ぎの一つすらも彼女の音楽は綺麗で、確率された世界で誰もを圧倒する。
鋭い視線と、そして激しいダンス。

激しい楽曲だと聴いていた通り、初めはしっとりと歌われていたそれは
スピードを上げて加速していく。自分達とはまた違うそのスピード感に
レンは思わず息をするのも忘れて見入っていた自分に驚いた。
初めてPVを見た時に鳥肌が立ったのを今も覚えている。彼女の世界に引き摺り込まれて
いく様な感覚に他のメンバーを見やれば誰もが視線を春歌へと向けたまま、息を止めて見つめている。
横に座る真斗も、真剣な面持ちで彼女を見ていた。

橙色の髪が激しく動く度に揺れる。それすらも一種の芸術の様に感じてレンは短く息を吐く。

「…凄いですね、春ちゃん」
この狭い空間で響き渡る歓声の中でもしっかりと聞こえた那月の声に翔は頷いた。

「あいつの曲はほんとにすげぇのばっかで、何だかこっちまで歌いたい…そんな気持ちになってくる」
正面を向いたまま、那月の問いかけに答えれば、僕も同じ気持ちです。そんな那月の声が聞こえてきて
トキヤはそちらへと視線を向ける。感じる事は皆一緒なのだと。
音也は目をキラキラとさせて春歌のステージを見つめている。
これで暫くは春歌大好き病も収まってくれるといいのだが。
其々思う事があるだろう。思い思いに見つめる中でけれど彼女に惹かれているという共通点に苦笑が漏れる。

ステージを見つめれば丁度歌い終えた春歌が少しだけ息を切らして最後のダンスに入った所だった。

曲が鳴りやんだ瞬間には、沢山の拍手と歓声が。それに少しだけ恥ずかしそうに目を伏せて観客へと
大きく手を振る春歌の姿に、トキヤはどうしてだか胸が熱くなる。まるで過ぎ去った日の
自分の姿に重なったからだ。歌う事が許されなかったそんな自分が掴んだチャンスと、居場所。
そして欲しかった音楽。彼女が持っている音楽。無いものねだりだとは分かっているけれど。
手を伸ばせばそこには求めている世界があるのだ。

「有難うございます、七海春歌さんでしたー!!」

司会の声が聞こえた瞬間に、まるでウェーブの様に観客の声が波打って聞こえた。
眩く照らされたステージの明かりが落ちても鳴りやまない歓声にこちらまで嬉しくなってくる。
少しだけ急ぎ足でこちらへと戻ってくる春歌を皆が見つめている。

「皆さんお疲れ様でした」

ニコリと微笑んでいる彼女はまだ少しだけ息が切れている。
目の前に居たレンが自分の横へ春歌を導く。

「とっても素敵だったよレディ」
皆が我先にと労いの言葉を掛けようとしているのを呆気なく抜け駆けすると
レンは必殺アイドルスマイルで春歌へと微笑みかける。若干距離が近すぎるのはどういう了見なのだろうか。
春歌は少し頬を染めて有難うございますと返している。
突き刺す様な視線にも動じずにレンは春歌との会話に夢中だ。
溜息を吐いてメンバーももう一度席につけば次のアーティストの紹介が始まる。

「皆さんとっても素敵でビックリしましたっ…、やっぱり歌は素敵ですし、ダンスも」

途切れ途切れに聞こえてくる会話が気になって、聞き耳を立てれば自分達を褒める春歌の言葉に
眦が下がる。歌い終えたメンバー達は後ろの雛段に座っている。
春歌、レン、翔、真斗、那月、トキヤ、音也の順番に座れば必然的に一番遠いトキヤと音也は
聞き耳を立てても会話はほとんど聞こえない。意図的なのか何なのか、レンの声が普段よりも
小さい気がするのは気のせいだろうか。
「ねぇ、レディはこの後の仕事はもうないんだろう、だったらこの後食事でもどうかな?」

堂々と番組中に口説くのはアイドルとしてどうなのだろうか。しかもアイドルをだ。
「おいレン、お前一人で抜け駆けすんなよな、春歌!終わったら飯食いに行こうぜ皆でさ」
「え、あの…でも私がいたらお邪魔じゃ」
「大丈夫ですよ〜、きっと皆で食べた方がおいしいです絶対」
「おいおい、先にレディを誘ったのは俺なのに酷いじゃないか、おチビちゃん」
「チビっていうな、チビって」

横から会話に乱入してきた翔と那月に勘弁してくれよとレンは苦笑いを零す。
まぁどうせ二人きりでの食事なんて抜け駆けをしたら他のメンバーが黙っていないのは必然だが。
ニコニコと笑う那月の横では真斗が無言で首を縦に振っている。

「で、ではあのっ…よければご一緒させて下さい。色んなお話も聞きたいですしっ!」

突然の事に最初は戸惑っていた春歌だけれど、またと無い先輩の話を聴ける機会に
若干興奮気味で了承の意を伝える。
トキヤは聞こえてきた那月の声で、現状を全て把握した。

「音也、収録が終わったらメンバー皆で食事だそうですよ、春歌も」
「……っ!!!!?」

決定事項を伝えれば音也は番組収録後までフリーズしていたそうな。

今夜は長くなりそうな気がする。




up2012/04/30

これにてソングステーション編はとりあえず終わります^^
読んで下さった方は有難うございました!!






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