※ストロベリー☆ナイトの番外編になります。
何時にもましてプリンス→→→春歌傾向強めです。
あくまで番外編なので色々ぶっ飛んだ内容になっています。
管理人の趣味が丸出しでも良い方のみ閲覧お願いします。
ちなみにコメディ成分が9割です。







「ソングステーション、本日のゲストは全国ツアーも大盛況、新アルバムを引っ提げて登場、ST☆RISHの皆さんです」

生放送の国民的音楽番組の収録が始まる。
新曲が流れると同時に長い階段を下りながらST☆RISHの面々はファンへと一斉に手を振る。
会場に響き渡る黄色い声援とでも言うのだろうか、年々と増すそれには自分達も圧倒されてしまう。
自分の名前を呼んでくれるファンに手を上げながらも、
トキヤは階段を降りながらその眩い光景を目を細めて見つめる。
元気良く翔が階段を下りるとそれに続いて真斗や那月が優雅に階段を下りていく。
レンはマイペースなものでゆっくりと降りながらもしっかり周りのファンにウィンクまで送っている。
この瞬間は何度経験しようと、緊張とそして喜びが綯交ぜになって気持ちが昂る。
デビューの時を思い出すというのは聊か浸り過ぎだろうか。
そんな中自分の少し後ろを歩く音也が何処か後ろを気にしながらソワソワしているのには理由がある。

「そして本日ソングステーション初登場、期待の新人アイドル、七海春歌さんです!」

一瞬の間に曲が春歌のそれに変わると控えめに微笑んだ彼女が階段を降りてくる。
短めなスカートの青いワンピースは流石アイドルといった感じだが彼女にこの色は似あっている。
響いた声援に恥ずかしそうに苦笑するその素顔に熱狂的なファンは大きな声を上げている。
何時までも後ろを向いているわけにも行かずにトキヤは階段を降りると所定の位置へと立つ。

「ぁ…っ」
けれど突然聞こえたそれに、チラリと視線を送れば
緊張で足が竦んだのか、か細い声が聞こえた後にバランスを崩した春歌の姿が目に映る。
段差のある階段でバランスを崩せば惨事にもなり兼ねない。何より彼女が怪我をすれば大問題だ。
反射的に手を伸ばしそうになったものの、けれど目の前にそんな彼女の体を支える
音也の姿が目に映った。
一瞬辺りが緊張に包まれたものの、それも一瞬で次の瞬間には他のゲストが紹介されて
二人も離れ事なきを得た。

「おい、大丈夫かよ〜ビックリした」

ゲストが揃い、CMに入った合間に翔は隣の春歌へと問いかける。
「すいません、緊張して足が…っ…」
恥ずかしそうに謝る春歌の隣ではレンや真斗も気遣わしげな視線を送っている。
事務所の後輩になった今、好奇の目で見る者は減ったけれど、男性アイドルである自分達と
女性アイドルである春歌が余り近い距離にいるのは世間的にもよろしく無い事は理解している。
けれどメンバーはそんなのお構いなし、どこ吹く風で春歌を構っているのはもう最近
ファンにも受け入れられてきているのは事実だ。過激なファンには今後とも注意していかなければ
いかないけれど。それは自分達にも言える事だ。

「春ちゃん大丈夫でしたか?でも安心してください、翔ちゃんも最初は転んでたんですよぉ〜」
ねぇ翔ちゃん。那月の問いかけは割とよく響いた。
「ちょ、そんな秘密にしておきたい事を堂々と暴露すんなーっ!!」
周りにいたゲストやスタッフにも笑いが巻き起こる。
春歌も先程の不安げな顔が嘘の様に今は微笑んでいて。
「音也……?」
トキヤは妙に静かな隣の音也を振り返る。
「また固まってるんですか、あなたは」
大方先程春歌を受け止めた時にショック状態に陥ったに決まっている。
今日の衣装は黒で統一されたものだ。メンバーの所々のデザインが少し違うだけで、
軍装の様なそれに多少動きずらさは感じるけれど、この衣装でハードなダンスを行わなければいけない。

「まったくしっかりしてください音也、春歌に失望されたいんですか?」

ボソリと意地悪く囁いてやればまるで油を挿されたロボットの様に途端にファンに向けてサービススマイルを
送っている。CMが明けて一曲目の後に自分達の出番、そして春歌だ。
今日はゆっくりと見物出来そうですねと。自分では声にしたつもりは無かったけれど、レンが楽しみだと返してくる。
声に出していた事にすら気づかなかった自分に舌打ちしながらも、もう少し気を引き締めていかなければと思う。
CMも終わり、間もなくして一番手のアーティストがスタンバイを始める。
自分達は前のアーティストが歌う直前と、そして自分達のスタンバイの直前まで司会の質問に答えなければいけない。
各それぞれトキヤを何故か中心に座るとその全面がカメラに映し出される。

「ST☆RISHの皆さんは今ツアーの真っ最中ですが音也さんはツアーの間は何時も好きな音楽を聴いてるそうですね、どんな曲を聴かれるんですか?」

いきなりの司会の質問にメンバー全員が噴出しそうになった。いきなり質問がピンポイントすぎる。
後ろの雛壇では春歌がカメラに向かって手を振っている。少しだけ映るゲストはそうするのが常ではあるがタイミングの良さに
自分を抑えるのに必死だ。音也といえば一瞬固まっていたが、そこはやはりプロ根性で何とか微笑みを作っている。
間違えても七海春歌の曲ばかり聴いてにやけている等とは言ってくれるな。
メンバーの面々は緊張の面持ちだ。

「そ、そうです、ね…音楽は、洋楽とかを聴いてます。はい、大好きです」

お見合いの席ではないのです、音也。トキヤは激しく突っ込みたかったけれど何とか答え終えた音也には賞賛を送りたい。
そして準備が終わったのか、司会がアーティスとの名と今から歌われる曲名を告げるとスタジオは一瞬して
ライブ会場へと化す。ファンの声もピタリと止んでそのアーティストの世界観に染まっていく。
皆それを見つめながら自分の番に思いを馳せる。
今回の曲はシリアスで尚且つスピード感もある。ダンスも激しいので皆の息を合わせる事が大切だ。
何度こなそうとドクドクと早鐘の様に脈打つ鼓動は緊張感を与える。今回センターポジションの自分は特にだ。

「あの、皆さん頑張ってくださいね」

けれど後ろから響く甘く優しい声に、メンバーは後ろを振り返る。突然全員が一度に振り返ったからだろうか、
他のアーティスが目を瞠っていたが、春歌の優しげな笑顔に皆癒されて引き締めた筈の頬が緩んだ。





→up 2012/04/22

特別番外編です。
事務所移籍後の話なのでもう名前呼びとなってます!
どうしてもこういう話書いてみたかったので好き勝手やっていますが
お許し下さい。長くなったので続きます…





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