今やポルノ映画館と言えば、痴漢の他にもハッテン場の巣窟となっているらしい。
アダルトサイトの体験掲示板に、たまに体験談が書き込まれている。

春樹は同性愛者ではない。
だがどういう訳か、何かと昔から同性にアプローチされる事が多かった。
高校時代にはうっかりラッシュの電車に乗ると、男の痴漢に遭遇する事もあった。

その頃は気持ち悪いと思ったが恐怖や嫌悪は特に感じなかった。
なので、自分はホモなのかと春樹は悩んだが、普通に女子は好きだったし、女子とのセックスも気持ち良いから好きだ。
顔立ちも良い春樹は今まで相手に不自由していなかった。

だが今になって( 男に触られんのってどんなんだろ… )と興味が湧いた。
そして好奇心に負けた春樹は、近県では痴漢で有名なポルノ映画館に来てしまったのだった。


シアター内は人も疎らで、春樹のように若い男はいない。
平日の普通の映画館ぐらいの人数で、客の年齢層も高めだ。
二十代の男は春樹だけのようで、何だか少し落ち着かない。

( AVみたいに局部とかは映さないんだな…映画、ってよりはドラマか…? )

際物のAVも見てきたから物足りないし、役者の演技が気になるのが難点だ。
視線を動かせば、明らかにオナニーをしている男が何人かいた。
春樹は興奮が足りなくて勃起も出来ていない。

と、視線があった。

四十近い男が徐に席を立って、こっちに歩いてくる。
春樹は思わず俯いた。

( まさか… )

ドクドクと心臓が緊張で鳴り響くのを感じていたら、ギッ、と隣りに男は座った。
そのまま太腿に手を置かれ、体が強張った春樹に気付いた男は、手を離してこちらの様子を窺っている。
逃げないと分かるとまた太腿に手を伸ばしてきて、ゆっくり撫でられれた。

( うわ…… )

ついに、と思えば急に興奮し出した股間が、じわじわと熱を集め出した。
男に触られて興奮してしまう体に、春樹はごくりと唾を飲んで更に俯く。
自分は男も許容範囲だったのだろうか…?
撫でていた手が内股に滑り込んできて、股関節の所まで撫で上げられた。


「……オナニー手伝っても良いかい?」

「…ぁ……」


ズボンの上から春樹の自身を触られ、血液が集まって膨らむのが分かった。


「あの…俺、初めてで…」


ポルノ映画館に来たのも、男が相手なのも。だからどうしたら良いか分からない。
春樹が小声でそう告げれば、男はただ頷いて、また耳元に唇を寄せて喋る。


「嫌じゃないなら、素直に感じていれば良いんだよ。出来そうなら、君もオナニーを手伝ってやれば良い。喜ぶよ」


喋りながらあっと言う間に春樹のベルトを外して、チャックも下ろし、トランクスに指を差し入れて若い欲望を握った。
それだけで春樹の腰や背中はぞくぞくする。
男によって外に出された性器に、ハッテン場の映画館内とは言え、他者の目がある中での露出に春樹は羞恥で顔を真っ赤にした。


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