姉が側にいる。
扉を隔てた向こうにいる。
それなのに、姉の彼氏に犯され、イかされた。イってしまった。
――トン、トン、トン……
階段を降りていく足音。
遠ざかる姉の気配に安堵する間もなく、擦り付けられる卑猥な肉塊にわなないた。
襲いかかってくるオーガズムが、姫子の神経に絡んで離れない。
舌を出して唾液を垂らしながら、姫子は強烈な絶頂にペニスを締め付けた。
「う…っ…姫子ちゃんイク…っ、出る……ッ、う、…出すよ…っ…」
姫子の耳朶に唇を寄せ、舌を差し入れ、歯を立てて息を吹き込む。
男は腰を振って乱暴に股間を打ち付け、奥まで捻り込み、――射精した。
肌が隙間なく密着し絡まり合う腟内で、ドクドクと吐き出される精液が、薄いラテックスを濡らしていった。
「はぁ〜…ヤバい…。姫子ちゃんのナカ気持ち良すぎて、出したのにまた勃ちそう」
「んん……あ……、は…、…や…ぁ」
「あいつ寝かせてくるから、姫子ちゃん、ちょっと待っててね」
口の縛ったコンドームが、ラグの上に放り捨てられる。
愛液で濡れた下半身を姫子のブラウスで拭い取ると、男は部屋を出て姉を追い掛けていった。
(……お姉ちゃんのせいだ……)
どうしてあんな人と付き合ったりなんてしたの、どうして家に連れてきたの。
食べ散らかすようなセックスを思い出して、男のおぞましい性器を思い返して、子宮が疼いてしまう。
(……全部、全部、こうなったのは…お姉ちゃんのせい…。私は何も悪くなんかない……)
指先さえ痺れて動けもしない。
起きて逃げることも出来ない。
嬲られた惨めで淫らな姿で、男が戻ってくるのを待つしかなかった。
■ □ ■ □ ■
どうやって姉を寝かしつけたかなんて、考えるまでもなく分かることだ。
気絶した姉をベッドに運んだその足で、男は姫子の部屋へ戻ってきた。
濡れた股間をさらしたまま、家の中を我が物顔で歩いている。
「お待たせ、姫子ちゃん。続きしよっか?」
首を振って泣く少女の返事なんて聞いていない。
体をひくつかせ、うつ伏せのまま横たわっていた姫子を引っくり返す。
開いた両足の間に割り込み、コンドームを着け、直ぐさま押し当ててくる性急さ。
膣内を押し拡げてくる熱の杭に吐息をこぼして、姫子はびくびくと震えた。
お互いの恥部は何の抵抗もなく、簡単に繋がってしまった。
「あー…マジで気持ち良い…俺ら体の相性ばっちりじゃん。どうしよっか? 姫子ちゃんのこと好きになっちゃった」
「…っ…ん…、、おね、ちゃ…っぁ…おねぇ、ちゃ、ン……」
「あいつのことも好きだよ、フェラ上手いし、いつでも直ぐにヤらしてくれるしさ。でも姫子ちゃんのマンコが一番気持ち良い…。何回でも抜ける」
リズミカルに擦り付けられるピストンが、姫子の子宮を切なく疼かせて、ドロドロに火照らせてしまう。
女を弄ぶことに慣れた男の笑い声も、オナホールのように扱う言葉も、上滑りしてちゃんと理解できない。
(おかしくなる、だめ、こんなの…っ、これ以上されたらだめになる…っ)
体を揺さぶられ、突き上げられ、短いオーガズムに溺れる。
擦るたびにビクビクと面白いほど痙攣する体を、男は犯して遊び、しゃぶりついてくる膣内を楽しんだ。
(…あ、…あ、……だめ……っ…)
姫子は湿った吐息をこぼした。
熱くて甘い官能のしたたり。
萎えることを知らないとばかりに、硬いペニスがぬるぬると膣内を擦る。
――頭の中が真っ白になる。
終わらないオーガズムに、自分の腰が揺れていることにも気付いていない。
「アイツには内緒で俺と付き合ってよ」
耳元に毒を吹き込むように、囁かれる男の甘い声。
気持ちいい、怖い、誰、何のこと。とける、痺れる、気持ちいい。
ふと浮かんでは弾けて消える思考と理性は、ふやけるほどの快楽にやがて散り散りに吹き飛んだ。
――正気に戻ったとき、姫子には誰にも言えない、秘密の恋人が出来ていた。
END
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