服の内側で汗ばんだ肌が張り付くようで、上がった体温は下がりそうもない。
姫子は男に抱きついたまま、荒い呼吸を繰り返して、オーガズムの感覚が抜けない腰を前後にくねらせた。


「…ごめんね、ちょっと出ちゃった」

「はっ…はっ… はぁ…、っ、…ん…? なに…?」

「オマンコの中にね、精液、出しちゃった…。でも、ちょっとだから……掻き出せば大丈夫だよ」


ぼんやりとしたまま、脳には入ってこない言葉を聞いて、ただ頭を動かして頷いた。
正気を失くした思考では、それが駄目なことだと理解出来ない。
妊娠の危険が分からない。
それよりもペニスに意識がいく。
姫子の尻に触れる肉塊は温かく、ヌルヌルとしていて、芯を持っていた。
灯った熱が引かない。
意図的に擦り付けられる。

(欲しい…もっとおちんちん欲しい…)

姫子は腰を揺らして、よだれを垂らす亀頭を濡れた割れ目へと誘った。
自立するほど再び硬く勃起していたペニスを捉え、ゆっくりと腟内に咥えていく。
男と女の唇から湿った吐息がこぼれる。


「…気持ちいいね…このままチンコで掻き出してあげるね…」

「っん……うん…、気持ちいい…気持ちいい……、おなか…こすって……」


狭いシートの上で絡まり合って、ゆっくり、ゆっくり、官能に揺れる。
繋がった場所で卑猥な音が鳴る。
体感する刺激が強くて、ぐずぐずに溶けて、頭の中が真っ白になっていった。
腟内を拡げて擦っていく硬いペニスを感じるまま締め付け、姫子は息を上擦らせて吐息で喘いだ。

(気持ちいい、気持ちいい……もっと…もっとして…)

3度目の絶頂は直ぐにやってきた。
ビク、ビク、と痙攣するように跳ねる姫子の腰を押さえつけ、男は淫らな女の膣にペニスを擦り付ける。


「俺もイっちゃいそうだ……。ちょっとだけ、中に出しても良い…? オマンコすごい締まって気持ちいいから…中でイキたい…」

「っ、ぁ…ふ……、いい…、ちょっとなら、いいから、奥、もっと、はぁっ、…奥ぅ、おちんちんでグリグリして…」


密着して耳元で吐息で囁き合う。
この周辺だけまるで酸素が足りないような、そんな濃密で凝縮されたいやらしい空気を吸って、姫子はセックスに夢中になった。
初対面の相手だとか、避妊具もしていないだとか、腟内に精液が擦り付けられているだとか。

……頭に入ってこない男の言葉に何度も頷いて、求めて、子宮口を嬲られて促された絶頂に喜んだ。
男はオーガズムに痙攣する姫子の膣を突き上げ、深く繋がりあう。
ポルチオに亀頭を押し付けて、男は思いっきり射精した。

――ビュルッ

姫子の膣内に精液が撒かれる。
前後不覚状態の女を抱きしめ、ユサ、ユサ、とその体を下から揺さぶる。
ビュル、ビュー…ッ、ビュゥ、
尿道を登って噴き出す精子。
まだ抜かない。
男はシートから腰を浮かせるように、ペニスを突き刺した。
ビュク… ビュク…
膣内で跳ね回る肉塊。

――どぷ…っ

全て精液を出しきるまで、男がペニスを引き抜くことはなかった。


* * * * *


映画館から夜明けの近付いた街へ出る。
まるで恋人のように寄り添う男と女。
足が震えてまだ上手く歩けない姫子の腰を抱き、男が歩むまま進んでいく。

(どこへ向かってるの…?)

ぼんやりと考えていた姫子は、ふと、揺蕩っていた瞳を明るいネオンに向けた。
ビルとビルの間に見えた光る文字。
呼吸が震え、吐息が熱く湿り、さんざん濡れたはずの恥部がまた潤っていく。


「近くに休める所があるんだよ」

「…」

「あそこでゆっくりしよう?」

「…うん」


姫子はうっとりと頷いた。
女は今、犯される喜びに包まれていた。

眠気はやってこない。


end

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