静かな虫の声に混ざって鳴らされる、湿った肌と肌がぶつかる音と、摩擦で粘着いたぬかるんだ音。
溢れてくる愛液のぬめりが姫子の陰毛や股ぐらを濡らし、縁側へとこぼれ落ちていった。


「はぁ…はぁ…、っ、う…っ!」


男が呻いて果てた。
それなのに肌は密着したままだった。

(……あ……え…? これ…?)

腰をグイグイ押し付けながら、男が気持ちよさそうに溜め息を吐いている。
姫子はハッと身を捩った。


「…っ! な、中…出しちゃやだ…ッ」


いくら外に出しても、生挿入されている時点で妊娠のリスクはあった。
それでも危険度はずっと高まる。
男のドロドロザーメンを中で出されてしまったらそれもどうなるか…。

(に、妊娠しちゃう…!)

繋がったまま腰を大きく振り動かされ、姫子は人形のように揺さぶられた。

パンッ、パンッ、パンッ!

孕ませようと股間を打ち付けられる。
射精したばかりの筈の性器は衰えず硬いままで、女の濡れた膣内をいたぶる。
息も絶え絶えに快楽に震える姫子の耳朶へ、男は湿った吐息と一緒に恨みのこもった声で囁いた。


「…知ってるんだよ…姫子ちゃんが高校卒業したら一人暮らしするってこと」


――夏休みに泊まりにくるの、今年で最後にするつもりなんだよね?

姫子の体が強張る。
体を男好みに仕立てられてしまっても、姫子はこの男から逃げたかった。
これ以上、自分がおかしくなる前に。
いやらしい女に成り下がる前に。
男の手から離れて“普通”の女に戻り、恋をして、“普通”のセックスがしたかったのだ。
だって自分は男の所有物じゃない。

…そんな姫子の希望は、呆気なく男によって踏みつけられた。


「お別れの餞別におじさんの精子たくさんあげようね、上手に孕むんだよ」

「っ…――?!」


ゴチュン、と深みでぶつかる。
子宮口を濡れた亀頭でグリグリと穿たれ、その衝撃に姫子は目を見開いた。
少女の足が折り曲げられ、爪先がギュウッと丸くなる。


「ぁ、いや……ッ、あっ、あぁ…ッ!」


堪えきれなかった甲高い嬌声が、夜の庭に広がった。
男の手で口元を覆われ、そのまま激しく打ち付けられる。
強烈な絶頂に淫らに蠢く膣をガシガシ擦り付け、そして男は獣のように唸った。

ドクッ…ドク、ドク、…ドクン…
…ビュル… ビュルル…

欲望にまみれた射精をしながら、男は腰を揺すって擦り付ける。
締め付けてくる内壁に、ひくつく子宮口に、その奥に潜んでいる卵子へと精子を送り込んでいく。

はぁー…っ、はーっ、はぁーっ

風が吹き込んできた。
汗ばんだ肌を撫でていき、火照った体がぶるぶる震える。

――祖父母は起きてこなかった。

息を潜めて様子を窺っていた男は、ぬるり…、と未だ萎えないペニスを引き抜いた。
亀頭と恥部が白い糸を引く。

ガクガクと震える姫子をひっくり返し、腰だけを持ち上げると、背後から濡れた股間を押し付けた。
離れた繋がりが再びねっとりと重なり合う。

はぁっ、はぁ、…はぁー…っ
ん…ん…はぁ、ぁ、…ァ…あぁ…ん…

男の打ち付ける動きに合わせて、女の腰が悩ましげに揺り動く。
姫子は縁側に爪を立ててはぶるぶると震え、短いスパンで襲ってくる絶頂に背中をしならせた。

(……わたし、何してるんだっけ…)

熱でのぼせた頭と理性。
汗を浮かべながら男と女は交ざり合う。
目の眩む快感を追って股間を押しつけ合う。

夜風が通り過ぎていった。
風鈴が涼しげな音を鳴らした。
けれどそのどちらも、姫子に灯った熱を冷ましてはくれなかった。


END

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