ちばくん、ボツ文章は見せ物でもないし、そんなむやみに(ry
2014/06/20 23:52



「きょうね、じょーたろーとあそんだの」
「知ってる」
「そしたらね、きゅうにぼーるがとんできた」
「……それで?」
「じょーたろーがぼくのことまもってくれたの」
「…………そう」
「すごくかっこよかった! えほんでよんだおうじさまみたいだったよ!」
「………………ふぅん」


ジョナサンの発言にDIOは溜め息しか出なかった。
少女の言う『かっこいい』とは外見よりも子供を守る対応や立ち振舞い、凛とした態度の事を指しているのだろう。
しかし、DIOはジョナサンが己以外の何者かを持て囃すのが気に入らない。その相手が忌々しい星を受け継ぐあの空条承太郎ならば尚更、だ。
思わず罵倒の羅列が飛び出そうになるが、この小さな蒼の前で嫉妬に駆られる無様な姿を晒すわけにはいかない。それよりも先程の会話の中でDIOには引っ掛かる単語があった。


「王子様、ね」
「うんっ」


にこにこ。ふわふわ。
温かい日だまりの様な笑顔。
もしもこれが童話ならば、明るくて誰にでも優しく笑顔を振り撒く彼女はまるでお伽噺に登場する姫だ。


「それならわたしはさしずめ悪い魔女かしら」


可憐な姫を閉じ込めて自分だけのモノにする悪女に、悪役を倒して姫を助け出す王子様。そしてお姫様は王子様と結ばれてハッピーエンド。実に反吐が出そうだ。
たかが十と数年しか生きていない矮小な人間に焦がれ続けた蒼を渡すつもりは無い。蒼を渡すくらいなら何がなんでも奴の息の根を止めて、あの世で自分に詫び続けさせてやる。そんな血生臭い考えが沸々とDIOの中で湧いていく。彼女にとってジョナサンは唯一無二の半身。彼女を奪われるわけにはいかない。
思わず唇をぎり、と噛み締めると、不意にジョナサンの震えた声が聞こえてきた。


「……でぃおどうしたの……? なんかこわいかおしてるよ……?」


視線を彼女に合わせれば、そこには不安げに翠玉を揺らしてDIOを真っ直ぐ見詰める蒼。少女にしか見せない黒い慈愛を浮かべてDIOは左手でジョナサンの頬を優しく撫でた。むにむにとした柔らかな弾力はどれだけ触れても全く飽きない。
DIOに触れられて不安が一気に吹き飛んだジョナサンは花開く様に微笑んだ。


「ねぇ でぃお」
「なに?」
「だいすきだよ」


空条承太郎はジョナサン・ジョースターの王子様にはなれない。
何故ならこの狂った絵本の世界に彼の出番は無いから。


「わたしも愛しているわ。誰よりも、何よりも大切なわたしのジョジョ」


互いに固く抱き合う囚われの姫と残虐な魔女。
決して相容れられない関係だった筈の二人。
書き換えられた物語の終わり。これが彼女の望むハッピーエンドだった。



「駄目」
「えー! どうして?」
「駄目なものは駄目よ」
「なんでじょーたろーをやかたによんじゃダメなのー?!」
「わたしが嫌いだからに決まっているじゃあない」
「やだー! やかたのおっきなキッチンでおままごとしたいー!」
「おままごとならこのDIOが遊び相手になってあげるわ。……そうね、風呂場でなんかどうかしら」
「??」





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