※ATTENTION PLEASE!!
・今回の内容は栄純と御幸が全くの初対面です。
・年齢もあまり定かじゃありませんがおそらく成人済み。
・近未来(タイムスリップ)設定で爆進していきます。(わかりにくいですが。)
・某魔王小説っぽくもない。
・無駄に長い。
▽以上のことを踏まえた上、ご閲覧くださいませ。




いきなりですが、ここで問題です。

俺は今、どこにいるでしょう?




A,未来にいます。











世の中解ったもんじゃない。
一体何をどうすればこんなことになるというのだろう。

夢であってくれ。いや、むしろこれ夢だろ?

そんな自問自答を繰り返すこと2時間弱…、
くらいに思えたが実際数秒程度のことだろう。

とりあえず、どうする、俺。


只今沢村栄純は、知らぬ顔の男(しかも就寝中)の腹の上にいます。





先程まで、爺ちゃんの溺愛する金魚に餌をやり、赤ん坊が落ちたら少し危険かな?ってくらいの大きな壺(前々から、金魚一匹にこのでかさはないだろうと思っていた。)を覗き込みつつ若干前のめりになった途端、



落ちた。

や、落ちたって言っても、金魚壺は金魚壺。
せいぜい顔面がちょっと残念なことになるくらいだろう。
普通。


そう、普通は「やっべえ俺金魚とキスしてどーすんのー。アホだなー」くらいで済むはず。
ハズなのだ。


ところがどっこい。
気が付いたときには身体の90%が壺にinして、口端から空気の泡をぶくぶくと吐き出す始末。



やばい、これは金魚を飲み込み兼ねない…
などと悠長なことを考えてる隙もなく、

あろうことか視界を真っ暗に染められ、






気が付いたら今の状況にあった。



とりあえずここはどこだ。
こいつは誰だ。



一旦落ち着いて深呼吸。
身長体重共に平均値の男が腹の上に乗ってしても起きない、この気丈な男には驚かざるを得ないところだ。

部屋?を見渡すと実に殺風景で、
好きなアイドルやスポーツ選手のポスターもなければカレンダーひとつない。

なんか生臭い臭いがするなと顔をしかめるが、
…あぁ、自分だ…。
金魚の壺が生臭くないはずがない。


…と、また視線を己に戻してすぐ、驚愕に目を見開く。


…跳ねてる……。

溺愛する爺ちゃんの金魚、通称“バニーちゃん”(魚なのにバニーちゃんはないと思う。)が、自身の膝の上で、さも瀕死っぽく。

一瞬だけその顔が爺ちゃんと重なって見え、跳ねるバニーちゃんを見て情けなくも小さく悲鳴をあげてしまった。


もそり。

男が身じろぐ。
やばい、起きる…!!と思ったのとほぼ同時に、目を覚ました男のそれとぶつかった。


あぁ、どうしよう。
とりあえず挨拶…か?



「お…、おはようござい、マス……」


2、3と瞬きをした男は驚くでもなく、
まさかの笑顔。

それはもう、世の女の子がみんな彼を好きになっちゃうんじゃないかってくらい、爽やかな笑顔で。



生まれてこのかた、同性にときめくなんてなかった俺の鼓動を早くした。
それほどまでに、まさに美形だ。



「…あの、」

「うん?」

何と言うことだ!
声まで美声ときた!

「どちらさま、ですか…?」


聞いた瞬間、男は盛大に吹き出した。
彼の唾が濡れた顔をさらに湿らせたが、もしかしたら俺も美形に早変わり!なんてことになってやしないかと、非常に鏡を要求したくなった。

残念ながら変化はなかったようだ。



「俺の台詞じゃね?それ。」

「あー…、そうですよねー…。って、あの…、」

「うん?」


「どこ触ってんスか…?」


どこって、尻?と小首を傾げられても困る。
眉目秀麗にしてまさかの……



「ゆ…、ユーアーホモ…?」


怯んで聞くと、男は未だ俺の尻を怪しく撫でつつ再び笑った。

そして、綺麗な発音で、「ちがうよ。お前が可愛いからだ。」と言って唇を舐めた。

この人エロスだ!と脳が叫ぶのと、万年英語は2だった自分がそれを聞き取れた不思議は同時だった。


臀部にあった手がするりと、綺麗な曲線を描くように頬まで移動して、その感覚にぞくりと肩を震わせる。

にやりと笑った男は俺の生臭い頬を撫で、先程俺が男に向けた質問をそのまま俺に問うた。

「お前、どっから俺んち入った?つか、誰?」

枕元の眼鏡をかけて、男は切れ長の目で見据えてくる。

疑われて当然の俺は口を開く。
この際、尻を撫でられようが頬を撫でられようが構うもんか。

ここがどこだかなんて、こっちが聞きたい。

「俺は沢村栄純。信じちゃくれないと思うけど、バニーちゃん…っつってもウサギじゃなくて金魚のだけど…の壺に落ちて気づいたら…」

「俺の腹の上、と。」

頷く。
なにひとつ嘘はない。
信じるかどうかはこの男次第だ。


言い切って少し、男は小さく唸って仕切に眼鏡を上下していた。

「西暦何年だ?」

「え?」

真面目な顔で問われる。

「21世紀、じゃないの。ふつう、」

問に答えただけで、男は全てわかりました的な顔、
真実は、いつも一つ、とでも言いそうな勢いで口火を切った。


「ここは23世紀だ。」


そう言った後、俺の肩を愉快そうに叩きながら、名を御幸だと名乗った。


ついでに、御幸のひいひいひいひい婆ちゃん?だかが俺にそっくりらしい。

はははは、何が言いたい。




「で、栄純はなにしに未来へ?」

「呼び捨てですか。」

「お前どう見ても俺より年下だろ?……あ、いや…違うな…」


1世紀も前の人間、生きてねぇ!!


つまり…


「超爺さんじゃん。」

人生の大先輩だ。




立場は大きく変わった。
御幸は俺が死んでさらに経った時代に生まれているのだ。
尊ばれて当たり前っちゃあ当たり前。

今度は俺の方がにやりと笑って御幸を上から見下した。

もちろん、それっぽく腕組みして踏ん反り返ってみる。


「わははは、愉快愉快。」

「はっはっは、そうかそんなに通報してほしいか。ならばしてやろう。」

進化したらしい、超薄型携帯を耳に当てながら俺を見た。

自身で自覚した。
俺今、絶対白目剥いてる。


通報されたら終わりじゃないか!

急な脱力感に襲われ、情けなくも御幸の逞しい胸板にもたれてしまった。

ムカつく手が我が背を撫でる。


「撫でんなーぁ!」

「生臭せぇなぁ。お前。……ん?」

初対面であるのにやたら馴れ馴れしい御幸は背を撫でる手を止め、違和感の感じた俺と御幸の間に目を遣る。


つられてその視線を追うと、


「バ、」

「バニーちゃん?」

御幸の膝の上で無残にも息絶えた金魚がいた。

忘れかけてたよ…。


「…こんな美形のアンタの膝で死ねてきっとバニーちゃんも本望だろうよ…。」

金魚のバニー。
実は雄である。


「なんか厄介者が来た感じだな。」

息絶えた金魚を回収し、頭部を掻きながら御幸は苦笑気味に言った。


「まあとりあえず、」



未だベッドに座り込む俺の髪を撫でながら笑む。


「シャワー、浴びてこいよ。」





え?なに俺、
23世紀の未来へ来て早々喰われる感じですか…?



絶えない笑みを見上げる。


危険な香りがするぜ!







*****

一匹狼」様にて44000HITを踏ませていただきました。
無茶なパロのリクエストをしたにもかかわらず、こんなにも素敵な御沢小説を頂いてしまいました…!
随時ニヤニヤが止まりませんね^^ニヤニヤ^^
ありがとうございました。感涙モノですよぶわわっ!







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