無意味な忠告


「コンクール最優秀賞オメデトウゴザイマシタ」
「はっはっは。全く祝われてる感がしねえ上に過去形かよ!」
「たりめーだ馬鹿。こう何度も賞取られちゃ祝うのも面倒になるっつーの!」


生憎今年度何度目か分からない御幸の入賞を一々心から祝う様な可愛らしい性格はしていない。
軽く溜め息をつき、御幸を見れば何をどう捉えたのか。眼鏡の奥でニヤニヤ笑っている。


「なんだ?俺が羨ましいのか倉持?」
「んな訳あるか馬鹿。羨ましいというよりテメェは腹立たしいんだよ!」
「はっはっは。そりゃどうも」
「褒めちゃねえし」
「なあなあ、それより聞いたか?」
「コンクール最優秀賞を"それより"で片付けるのはテメェぐらいだ。…どうせウワサの新入生のことだろ?」
「そうそう。今年は随分面白い奴らが入って来たってスゲー噂立ってんな」


レベルの高いこの大学には毎年敏腕の者達ばかり入学してくるが、やけに今年は騒がれている。
しかしその噂はどれも曖昧で、信憑性は低い。肩透かしなんてことも有り得る。



「ヒャハ。どんな奴らが来んだか」
「あんまり後輩をイジメんじゃねーぞ」
「テメェこそ後輩からかって面白がるんじゃねーぞ」
「俺って守れない約束はしない主義なの」
「気が合うじゃねーの。俺もだ」



 
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