無意識のゼロセンチ


「…えーっと、沢村?」
「ちょ、動くな馬鹿!」
「うん、もう馬鹿でも何でも良いからさ…何してんのかな?」
「何って、見て分かんだろ?アンタのコレってどーなってるか気になったんだよ」

コレ、とはオレンジのグラデーションがかかった野球用の眼鏡の事だ。
しかしんなことは御幸にとってどうでも良い。
要はこの近さだ。近さ。


「へー、コレこーなってたんだ。面白れー!」
「おま、面白がんなよ」
「だってすっげーグラデーション綺麗じゃん!」
「分かった。分かったから俺がかけてる時に観察するなって!見たいなら後で貸してやっから」
「何でだよ?どの道見せてくれるなら今でいーじゃん」


ああ本当、どうしてくれようかこの鈍感っぷり。
何でも何も、無いだろ?


「ハァ……先に言っておくが今回俺は悪くないからな?」
「は…?」
「スキ有り」


無防備にも程が有る。
少しは危機感や緊張感を持ってくれ、の意味を込めてゼロセンチをマイナスにしてやれば真っ赤に染まった頬が見えた。



(これでもまだ見たい?)
(け、ケッコーです!)
(はっはっは、俺ちょっとしゃがんだだけなのにな?)
(〜〜〜っ!)






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