memo


現実と反比例して進む世界から抜け出して
2010/06/05 10:19



御沢小話。

最近パラレルばっか書きすぎてて、ノーマルが全く書けないことに気づいたので、リハビリ。
本当はイチャコラしてるやつを書きたかったはず。(ぇ
スクロールプリーズ。












夢を見た。
でもって勢いよく目覚めたら涙の筋が張り付いていてビックリ。
夢を見て泣いてた、なんて何年ぶりだろう?



ぐるりと見回せばまだあたりが若干明るくなりつつある。
新聞配達ぐらいの時間かな?とベッドから這い出ながらぼんやりと思う。
少し耳を澄ませば二人分の寝起きが聞こえた。
大丈夫、起こしてない。
本当は二度寝してもよかったんだけど、そんな気分じゃないし、ちょっとマズいことになってそうだから確認をしにそっと部屋を出る。



覚めてんのか夢うつつなのか分からない頭の重さを感じながら洗面所に向かった。
そのまま鏡の前に立ち、パッと上げた顔は…まあ予想通りかなりの大惨事だ。
何がって目元が。
俺さっきまで泣いてましたよ、の証拠全開な赤く少し腫れた目元に、呆れを通り越して自分に笑えてくる。
あー何がおかしいのやら。
こういう笑いに限ってなかなか引っこんでくれない。
くれないからとりあえず一しきり収まるまで自分に笑ってれば、横から盛大なため息が聞こえた。




「お前…こんな時間に何してんの?てか何一人で笑ってんの?夢遊病?」
「…なんてーかさ、アンタってタイミング悪いよな。KY?」


こっちが聞きたいよ。
なんだってこんな時間に今一番会いたくなかった御幸がうろついてんだ。


「ちょっとスコアブック整理しようと思って早起きしたんだよ」
「アンタ朝弱いのに?」
「ちょっとした快挙じゃね?…で?沢村はこんなとこで何してんだよ?」
「…ノーコメント」
「俺は質問に答えたからノーコメントは無しな」


あ、ちくしょう先手打たれた。


「…むゆーびょう、ってやつ?」
「疑問符で返したってことはそれウソだろ。…仕方ない、バカな沢村に分かりやすい質問に変えてやろう。…何でお前泣いてたんだ?」
「…アンタさ、人が答えたくないと分かってて聞くっつーヤな性格、直したほうがいいよ」
「ハイ俺先輩ー」
「…直したほうがいいっスよ」
「はっはっは。捕手なんざ性格悪くてナンボなんだよ。ほらほら観念して話しやがれ」
「……笑うなよ?」
「努力はする」





「…アンタの右手が故障する、夢を見た」






「………」


ほら見ろなんだよこの沈黙。
だから言いたくなかったのに。
気まずくて御幸から視線をそらせば鏡にぶち当たる。
その中の自分の顔は相変わらず酷いもんだから、そっからも視線を反らせば、不意にククク…と忍び笑いが聞こえて思わずムッとした。



「だから笑うなっての!悪かったなこの年で夢見て泣いてて!」
「いやいやいや…そうじゃなくて、さ」
「…じゃあ何!」
「んー?俺って愛されてるなーって」



1mあるかないかの距離を詰められて、「沢村ってばかわいいー」なんて言いながらわっしゃわっしゃと髪を撫でられた。
そうして気づく。
大丈夫、この人の右手は故障なんざしてないと。







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