memo


アンチ アンハッピーアニバーサリー
2010/05/04 14:17



アンハッピーアニバーサリー 続き。
ご要望にお答えして。












どの番組でも今日何度目か分からないニュースばかり繰り返す。
輝かしい照明を浴びてヒーローインタビューに答えている御幸を、きっとほとんどの人が何の疑念も懸念も無く見ているのだろう。
相変わらずカッコイイな、とか。相変わらず天才だな、とか。
観客の人たちに「ありがとうございます」と笑って礼をする彼を見る度に、酷く悲しくなるのはおそらく自分だけだろう。



…何が「ありがとうございます」、だ。

無理して笑ってるのが痛々しくて見てらんない。
そしてその原因である自分が嫌で仕方ない。



御幸の足枷になるのが嫌で別れたハズなのに。
これで良かったんだと、今までがおかしな関係だったのだと頭では分かってるのに。
気づけば俺は後悔ばかりして、御幸は以前の御幸じゃなくなって。
良かれと思って選択した結果が、コレなんて。



「……俺ってホント、バカ……」



こんなにも自分の愚かさを呪ったことなんてない。
八つ当たりでソファを叩けば、左手に携帯が当たった。

気づけばテレビの電源を切って乱雑に携帯を引っつかんでいた。
電話帳を開いて、ま行の一番上にある彼の電話番号を表示する。
ほんの一瞬、電源ボタンに逃げかけた指を力を入れてダイヤルボタンに動かした。
あれから三年も経ってるのに、電話番号が変わってる可能性なんて考えもしないあたりやっぱり自分はバカらしい。






何度目かのコールが虚しく続く。
あ、ヤバイ。泣けてきた。
それでもただじっと待っていると、不意に電話が繋がる音がした。


「…さわ、むら?」
「久しぶりっスね」
「……、ああ」


声が震えるのを必死に堪えて、小さく息を吸う。
自分から電話しといてこのザマとかやっぱり俺はバカだ。


「一回しか言わない。だから聞こえなかったフリしても構わない」
「…沢村?」
「間違って電話を切った、ってゆーのもアリだ」
「………」


でも、バカでもいいよ。


「今から御幸に……一也に、会いたい」



バカじゃなきゃこんなマネできないから。






(アンチ アンハッピーアニバーサリー)
(壊したのが俺なら、元に戻すのも俺だ)








御幸を幸せにするつもりが中途半端に…
これは続けるべきか?




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