もしも私に力があるなら目の前にいるこの男の首を絞めて、絞め落してやるのに。昔の事にこだわらないでいた。掘り返してもしょうがないし死んだ人間は生き返ったりしないから。彼が何で死ななきゃいけなかったのか未だにわらないけどね。だって彼はとても優しくて仕事に誠実で普通の人だったのにさ、上司の人にどこぞの偉い人のパーティーに誘われて強制的に連れてかれちゃって心臓にナイフが刺さって死んで帰ってくるってありえないでしょ。上司の人を問い詰め様にもそいつ死んじゃってるし。だから偉い人をあたったら知らないうちに裏社会に足を踏み入れた事になっちゃってたとか笑っちゃうよね。その御蔭で彼が誰に殺されたかわかったよ。わかったからってどうしようもないんだよ。彼は裏社会の人間じゃなくてただ巻き込まれて死んだだけ。彼が悪い人じゃないってわかっただけよかったの。そうやって自分を押さえこんできたのに目の前に彼を殺した暗殺者が現れるって酷くない?裏社会に入っちゃった以上出られなくてヒットマンや情報屋として過ごしていた私が仲良くなったファミリーのパーティーに呼ばれて気が乗らなかったけど、どうしてもって頭を下げられたから来たのにほんとパーティーは嫌い。私から全て奪うつもりなんだ。きっと私達に華やかな会場や汚れた人が集まる場所は会わないんだよね。

ベルフェゴール。何だかんだ言ってこいつの名前を忘れた事はなかった。

漆黒の隊服に身を包む集団に所属していて金色の髪。悪魔のような残虐さ。どうせこいつは私の大切な人を殺した事なんて覚えてないんだろな。ねえ、どうして彼を殺したの?私はそれがずっと聞きたかったの。何で死ななきゃいけなかったの?私達の幸せを返してよ!声に出そうにもそんな事をしたらきっと私はすぐに殺される。このパーティーを主催したのはボンゴレ、そのボンゴレの特殊暗殺部隊の彼の面を汚そうとしたら絶対周りは私を消すだろう。いや、心優しい10代目に話せばきっと私を守ってくれるだろうけど私が守られたいのは彼だけだから今まで話さずにいたんじゃないか。

じゃあ、私は仇を目の前にして指を銜えて見てることしかできないの?そんなのいやだっ!絶対にいやなんだよ。酔ったのか頬の赤い彼はふら付く足で休まろうと部屋に向かおうとしたのでその後を追いかけ誰もいない廊下で「待って!」と呼びとめていた。後ろに微かに気配を感じる。たぶん銀髪のロン毛の人がベルフェゴールをずっと見ていた私の事を不審がっていたからついてきたんだろう。誰がいようと関係ない!力がなくても私が彼を失って傷ついたようにベルフェゴールも傷つけばそれでいい。
覚束ない足取りで振り返ってベルフェゴールは「ししっ」と笑ってナイフを出して私に近づいてきた。

「もう、踊るのも喋るのもおしまいっていったよな?聞き分けのない女は嫌いなんだよねー」

「私も自分勝手で簡単に人を殺せて酒に酔う男は大っ嫌い」

嫌い嫌い嫌い嫌い!あんたが嫌い!懐に隠した銃を出そうとしたら私の言葉を聞いたからなのかベルフェゴールは腕を伸ばせば届く距離で足を止めて私をまじまじと見始めた。ナイフが飛んでくると警戒していたがそれが飛んでくることはなくて「悪かった」と彼の弱々しい謝罪が飛んできた。ベルフェゴールは彼の事を覚えていたんだ。もっと詳しく言えば彼が死んだのを突き止めるべく裏社会まで足を踏み入れた私の事を知っていたんだ。涙よ流れないで。この人がいなくなるまで流れないでね。やっぱり復讐なんて考えるんじゃなかった。どうしたらいいのかわからないよ。私が聞いたベルフェゴールだったらなんの迷いもなく恨んで殺そうと思えたのに。眼の前に居る彼は悪魔の面をかぶった只の弱い人間じゃない。悲しくて苦しくて私はその場からさるしかできなかった。


((任務で一般人を殺した事になんの罪も感じなかった))
((だけどカス鮫に殺した一般人の恋人が復讐するため))
((裏社会の人間になったと聞いて興味を持ったんだ。))

((やっと見れたその女は壊れ物のようでそれでいて))
((儚くて真っ黒に染まりきっているはずなのに))
((純粋な白で俺はそれを傷つけたんだ))





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