死んでしまえ!と吐き捨てて花子は応接室を飛び出した。死んでしまえって、仮にも彼氏に死んでしまえはないんじゃない?僕が死んで一番悲しむのは花子なのにさ。
大体、僕は悪いことなんて何一つしていないのに勝手に怒って怒鳴って忙しそうな子だよ。
人が花子との時間をできるだけ作ろうと書類をせっせとこなしているのに横からぺちゃくちゃと話しかけられ適当に相槌をうっていればそれが気に入らないって駄々をこね始め、またそれを聞き流していたら「雲雀は私のことなんか好きじゃないんだ」と僕のことを語りだしてなんだかんだしゃべり続けた花子の中で僕は女を弄ぶチャラ男となったらしい。
花子の被害妄想は年々磨きがかかっている気がする。どうして僕がチャラ男になったのか教えて欲しい。弱いやつも群れるのも嫌いな僕がそんな女をとっかえひっかえしていちいち泣かれていたら僕はずっとイライラして群れを咬み殺しているよ。花子しか僕はいらないし少々めんどくさいところもあるが花子以上の女なんていないんだ。僕はこんなにも一途なのに花子にはそれが伝わらない。僕のほうこそ花子がほんとうに僕を好きなのかわからなくなってきた。もしかして花子は僕を困らせて別れようとしているのかもしれない。こうしてる間にも一目惚れしてしまった男と合挽きしてるのか?…花子のことだからそれはないか。だけど花子の好きがわからないのは確実だ。ああやって疑うのは僕を信じてないからだろうし、冗談でも死ねと言えるのは花子にとって僕が必要ないからなんじゃないだろうか?こんなにも自分はネガティブな人間だったのか。花子もこうやって嫌な方に嫌な方に考えているんだろうな。それを口に出すか出さないかでは大きな違いだけどね。

まあ、疑っていてもしょうがない。花子の愛はヤンデレなんだと思っておこう。そのうち包丁を握りしめて泣きながら死んでくれと言われそうだ。そうならないように取り合えず僕には花子しかいないって事を言いにいかなきゃね。

くるくると回る座り心地のいい椅子から立ち上がり学ランを肩にかける。


「まったく手のかかる子だよ」


花子の教室に向かえに行くと顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにして抱きついて「ごめんなざいーっ」と鼻をすすりなが謝ってきた。放課後で誰もいないからお化けかと思ったというのは胸のうちに秘めとこう。


(なんでもするから浮気しないでーっ)
(…しないよ。するわけないでしょ!)
(…そうなの?)(あたりまえ)
(私なんで泣いてんの?)
(こっちが聞きたいよ)




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