リボーンは私が悲しい時、辛い時、苦しい時、どうしようもなく困った時に「大丈夫。花子なら大丈夫だ」と真顔で言って何もしてくれない。あんなに強い癖に自分より弱い私に手を差し伸べすらしないとか根が腐ってるよ。大体、悲しい時に「大丈夫」とかまったく大丈夫じゃないから。悲しいんだから私にだって如何るす事もできないからね!死んだ人間を生き返らせたり感情をうまく切り替えられる人形でもないんだよ!抱きしてめて優しい言葉くらいかけてよ女の子なんだから。
辛い時も苦しい時もそう。大丈夫じゃなんの解決にもならないんだっつーの。スーパーマンにでもなればそりゃ「大丈夫!私に任せて!」って言えるけどさか弱い女の子だから。もう一回言うけど女の子だからね。
苦しい時なんてもう笑うしかなかったなあ。銃でお腹撃たれちゃってさ。初めて生死を彷徨うスリルを味わった時でさえリボーンは「大丈夫だな」と勝手に解釈して敵を倒す事に全力を出していたっけ。あの時は呼吸もやばかったけど頭にきて撃たれたのなんか忘れて任務を続行したっんだよな。いやー。笑った。笑った所為で余計に血が出て出血多量で死にそうになったんだっけ。

こう思い返せばリボーンって本当に私の事好きだったのか?

いきなり「お前は俺の愛人だ」と告白をされちゃんと乱暴にお断りした筈なのに次の日から恋人ぶってきやがってさ。愛人ってなんだコノヤロー。私の事舐めてんのか!俺の一番にしてやるとか恋人とかだったら分かるけど愛人ってさあ…言ってしまえば「お前を俺の2番目にしてやるよ」って事じゃん。何で上から目線?リボーンが私を好なのになんで私がリボーンに2番目に愛されなきゃならないの?周りの人間に何度否定しても流石、最強のヒットマン。こんなボンゴレのめちゃ下の部下の話なんか信じてくれやしない。寧ろお前は遊ばれてんだよとか苛められてね?私ほんとにかわいそうな子。

「お前は俺がいなくても大丈夫だな」

「大丈夫の使い方がおかしいよ」

「まったくおかしくねえぞ」

「まるでリボーンは自分に言い聞かせてるみたい」

ほらまた真顔で「大丈夫」って言いやがったから今日こそは言い返してやった!そしたらリボーンはめずらしく私を抱きしめてきた。おやおや?今まで言葉で愛してるとか好きだとか言われた事があるが恋人らしい事をされるのはこれが初めてだ。他の女にはしてたのかな。ど、どうでもいいけどね!
きっと私の言葉が図星で言い返せないから紛らわそうとしてるんだな。これだからイケメンは困るんだまったく。

「そうかもな。俺は今まで本当にお前が大丈夫だなんて思ったことねぇぞ」

「え!それ、なにこの複雑な感じ!」

じゃあ、今まで何で大丈夫だなんて言ってたのよ。そう思ってないならもっと優しくしなさいよ。

「ほんとはこうやってずっと抱きしめたかったんだ。お前の髪だって触れたかったし口にだってお前の全部に触れたかった。愛人じゃねえ。お前を一番愛してるって俺がどんなに言いたかったかお前はわかるか?」

やだな。そんな苦しそうな声で本音を言わないでよ。リボーンは鬼畜で冷たいヒットマンでしょ。恋人だと知られたら私の命がリボーンを恨む沢山の人に狙われるとか優しくすれば私が仕事に集中できなくて支障をだすのとかそんなの気にしない人じゃない。

「大丈夫よ。私はそんなに弱くない」

初めて自分から言った大丈夫。リボーンは今まで自分にこの言葉を言い続けてきたんだ。私なら大丈夫だと押し堪え自分の感情を後回しにしなんだかんだと私を守ってくれていたんだ。悲しい時の「大丈夫だな」は俺がいなくても頑張れって言う意味でこうやって別れが来るのをリボーンは知っていたんだ。

「リボーンがいなくても私は大丈夫」

大きな背中に腕をまわしたらリボーンは鼻で笑って頭を撫でてくれた。

「当たり前だ。俺がそう教えてやったんだからな」

自分がいなくても大丈夫なようにリボーンは私を強くしてくれたのか。だったら最初からそう教えてくれればよかったのにと思ったがこれは不器用な彼の優しさなのか。


(…まさか赤ん坊になって帰ってくるとわね)
(花子…お前ふけたな)
(中身は変わってないのね)
(あたりめーだぞ。今も昔も俺の一番はおめーだ)





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