俺があの頃と変わらなければ…
お前はずっと俺の傍にいてくれたの?




幼かった俺は人の命を背負うことが怖くてマフィアのボスになりたくないとずっと断り続けていた。
ほんとは人の命何かじゃなくて自分が人の大切な物を奪ってしまって怨まれたり、憎まれたりするのが嫌なだけだったんだけどね。
リボーンはそれを背負ってヒットマンをしているんだよな。
そんな恩師の事を思い出して俺は血で染まった部屋の隅で縮こまって震える花子の頬に優しく触れた。
服や顔に汚い血がベッタリついちゃったね。
早く屋敷に戻って洗い流そうか。

「ひ、人殺しっ!」

そんな恐い物を見るような眼で見ないでよ。
大体、人殺しって酷くない?
俺は花子の為を思ってこの人を殺したんだよ?

「返してっ、返してよぉっ!」

頬に触れていた俺の腕を振り払って両腕を掴んで揺さぶられた。
泣く必要なんかないだろ?何で泣くんだよ!
どうして俺をそんな眼でみるんだっ!

苦しくて、苦しくて息ができなかった。
泣き叫ぶ花子を見るのが辛い。
俺の腕を離して両手で顔を抑えて泣く花子を抱きしめた。
どんなに否定されようと、胸倉を何度叩かれようと離しはしない。
俺に勝てるわけないじゃん。抱く力を強くすると小さな悲痛の声が聞こえて、それがまるで「嫌い」と言われてるようだった。

「あんな男のどこがいいの?俺が居るじゃん!何であいつなんかとっ」

「…急にそんな事言われたって、ツナは、今までっ、イタリアにっ、行ってたじゃない!」

文になってない理由。いい加減泣きやんでよ。

「俺は花子の事ずっと前から好きだったんだよ?離れるのは嫌だったけどイタリアに行ていい男になって花子に会おうって決めてたのに…いざ会いに来たら好きな女が知らない男と抱き合ってたのを見た俺の気持ち分かる?」

「私はそんなの知らないっ!私が好きなのはツナじゃなっ」

花子が喋り終える前に思いっきり首を後ろから掴む。苦しそうに息をして青ざめた顔をする花子は絶対俺に「助けて」なんて言わないだろうな。

「俺が花子を幸せにできるんだよね?俺さ、見違えるほど格好よくなって強くなったでしょ。今はマフィアのボスやってんだ。ボンゴレ]世の奥さんだから何不自由ない生活を送れるよ」

優しく微笑みかけるが絶対に首を掴んでいる手の強さは弱めない。
なのに今まで抵抗して俺の手首を掴んで引き剥がそうとしていた花子の手の力が弱まった。
顔を見れば泣き過ぎて赤くなった瞼の上をまた涙が伝った。
さっきとは違くて、憎しみとか悔しさじゃない…
花子の表情は悲しみと失望に変わっていた。

「…いらないよ。そんな幸せも地位も生活も欲しくなんかないっ」

俺の両頬にそっ手を差し伸べて花子は「どうしてそんな事言うようになっちゃったの?」と擦れそうな声で言った。
ははっ!これじゃあ悪者見たいじゃん。
俺が間違ってるって言うの?俺は何も間違ってない。
花子には分からないと思うけどマフィアのボスになっていい事なんか一つもなかったんだよ。
仲間を守る為にこんなに汚れて、もう怖さとかそんなのないよ。
馴れって凄いよね。女だっていくらでも抱けるよ?愛しては上げられないけどね。
流石に俺も鬱ってきちゃったよ。
だけどさ、花子を幸せにできると思ったら頑張れたんだ。

「ねぇ、ちゃんと聞いてる?」

力強く締めた首。息なんかできるわけないよね。
苦しかったでしょ?俺もそれくらい苦しかったんだよ。
なのになんで花子はそんな眠った様に死んでるの?

(到頭オレは最愛なる人を)
(殺めても何も感じなく)
(なってしまったんだね)




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