昔は一緒に遊んだり、風呂はいったりしてたんだよな。
今では遊ぶことさえも少なくなっちまった。



よく女子から「彼女は居るのか?」と聞かれる。俺はその度に「いるぜ」って照れて返す。
帰りも部活がない日は一緒に帰ったり、昼飯も2人で食べたりしてんのに何で周りは気づかないんだろうか?
俺と花子ってそんな恋人同士に見えねぇのかな?
確かに友達同士って感じもするけどよ。俺の友達も俺が言うまで知らなかったみてーだしな。ツナは「そんな気がしてた」ってあんま驚かなかったな…
獄寺は興味なさげの割に結構2人きりにしてくれたりして気ぃ使ってくれた。

「これはデートだよな?」

「そうなるんじゃない?」

帰り道に本屋に寄ってファッション雑誌を読む花子の隣に立ってスポーツ雑誌を読んでいた。
デートだったら嬉しいがこれはどっちかつーと寄り道?あ、でも放課後デートって最近では言うんだよな!
ゲーセンとか行くもんだと思うけどよ。
花子は俺と居る時はそんな所じゃなくてゆっくりできる所がいいらしい。
俺も花子と同じで2人でいる時はこうして他愛ない会話をして一緒にいるのがいいからそれでいいのか…

「なぁ、今度久しぶりに遊園地行こうぜ!」

「お誘いは嬉しいけど総体が終わるまで行かないよ」

「うっ!行き抜きで行こうと思ってたんだけどなー」

「そんな事言って試合で負けたら死ぬほど凹むクセに」

「花子が応援に来てくれたら絶対負けねぇ!」

やっと雑誌から顔を上げた花子は俺の方に顔を向けて「あたりまえでしょ」と微笑んだ。
その自信はどこから出てくんだと口から出かかったが押さえて俺も笑った。
好かれてるって事だよな!自分を信じてんじゃなくて花子は俺を信じて言ったんだよな。
嬉しくて笑っていたら「気持ち悪い」と言われてショックだった。
そんな引いた眼で見るな!傷つくだろ!

店を出て並んで帰る。歩幅を合わる必要も遠慮もない俺達はやっぱり幼馴染だからって事で他所からは片づけられるんだろうか?
「身長は合わせてよ」って花子に真顔で言われた時は本当に可愛くて思いっきり抱きしめたっけな。
もう一回言ってくんねーかな!

「でも、デートしたいね」

「だからお前はそうやって突然言うんだよな!反則じゃね?ツンデレ?」

「いや。意味解んないから!ツンデレじゃないから!」

「取り合えず抱きしめたいです」

「人前だから嫌だ」

それがツンデレなんだって。
確かにご近所のおばさんとか下校してる並中生が前にも後ろにもチラホラいるから我慢しよう。
手を繋ぐくらいはいいだろ?ちょっと驚いてはいたが普通に握り返してくれたのでこれで満足だ。
恋人繋ぎを所望したら嫌な顔はされたけど指を絡めてくれた。

「総体が終わったら絶対デートな!」

「うん!遊園地でしょ、デパート行って、海とか…一杯ね!」

「海って時期じゃねーだろ!」

「総体が終わってからのスケージュールだよ?」

「先走りすぎじゃね?」

「早く言わないと武が野球の予定決められないじゃん」

中学に入って部活や友達付き合いで花子と居る時間が少なくなった。
それに気づいてたのは俺だけじゃなかったんだな!
身近にいるからそれでいいと安心していたけど、心寂しかったのかもしれない。


(武とあたしが恋人に見えない?)
(って言われて嫌だった)
(ま、いいんじゃない?)
(え!?いいのかよ!)

(それ程仲いいって事でいいじゃん)

(…そうか。いいんだよな!)




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