僕の知らない事を貴女は知っている。
子供扱いしないでください。
僕だってもう大人なんですよ?



「ごめんね骸君。仕事入っちゃった」

手を頭の上で合わせて謝られるのはこれで何度目だったでしょうか…
喫茶店なだけに周りの眼が痛いんですよね。
少し頭を下げてる分まるで彼氏が別れ話を切り出した見たいですよ。もう少し女の子らしい謝り方にしてください。

「仕方ないじゃないですか。頭を上げて下さい」

「でも…せっかく骸君も仕事休んでくれたのにっ」

そう思うなら上司からの電話でないでくださいよ。このパターンの繰り返しじゃないですか。平然を装うが内心苛立ちで一杯だ。半泣きになりながら僕の顔色を窺っているので微笑みかけると安心した様でストローを口に咥えて残っていたオレンジジュースを飲みほしていた。僕も頼んだココアを一口飲んで溜息を吐いた。堪えていたが我慢の限界だったようだ。まるで自分だけが彼女を好きみたいでそれが不服なんですよねぇ。
ココアの甘さがどうも今は嫌で全部飲む気にはなれなかった。
やっぱり年上なだけに会える時間が少なくても大人の余裕ってもんがあるんでしょうね。

会計を済まし店を出ると僕の袖を少し掴んで「途中まで一緒に行こう?」と遠慮がちに聞かれれば断れるわけがない。上目づかいで小首をかしげるのは反則ですよ!
それでも自分と居るより仕事を選ぶ彼女に苛立って早歩きになってしまう。

「骸君怒ってる?」

「そう見えます?」

「うーん。凄く見える」

「クフフ。では、何故でしょう?」

彼女と向き合う形で止まり顔を近づけると頬を赤くして悩む彼女は可愛らしい。
僕の方が身長は上なんですよ。どんなに背伸びしたってね。
上目づかいで攻撃してきたお返しです。

「私がデート中に電話に出たから?」

「ちがいます」

「デートを途中で中断するのがこれで18回目だからかな?」

「覚えてたんですね。でも、ちがいますよ」

「えっと、理由が仕事だから?」

「おしいですね」

「む、くろ君っ!顔、近いよ…っ」

「花子が中々正解を言わないからですよ?」

鼻と鼻が微かに触れていてあと少しでキスできる距離になっているのに、次の答えを中々言わないので態勢がきつくなってきました。
公衆の面前なんですよ!早く間違えて僕と口付け交わしちゃいなさい!

「私が骸君と居るより、仕事をとってるから…?」

「ちっ…正解です」

素直に離れるのは悔しいので額にチュッと音を立ててキスをした。さっきよりも顔を赤くして額を抑える。
その手を掴んで「クフフ。行きましょうか」っと満足気に言うと花子の顔が近くにあって僕の頬に彼女の唇が触れた。

「おかえしだよ」

…ご奉仕の間違いじゃないですか?
繋いだ手を握り返されて顔を見れば悪戯な笑みを浮かべる彼女は僕が今どれほど嬉しいか分かっているんでしょうか?
できれば口だともっとよかったんですけどそれはまた今度って事にしましょう。

「あのね、ほんとは黙っとこうと思ったんだけど…この仕事が終わっらしばらく長い休みがとれるんだ。だから、そのっ…」

段々と小さな声に変わり顔は耳まで真っ赤になっていた花子を不思議そうに見てると突然こっちに勢いよく振り向き僕の顔を真剣な眼差しで見て「骸君のお仲間の人やボスさんって人に挨拶に行ってもいいかな?」両手で手を握られ自分の言った事に照れて奇声をあげ始めた彼女の頭を空いてる方の手で優しく撫でた。

「おやおや。大胆ですね」

「…だ、め?」

「勿論いいに決まってますよ」

「やった!」

犬と千種には早く合わせてあげたいですけど、フランとボンゴレの連中は幻覚でもだしますか…。沢田綱吉は変な所で鋭いですから既にこの情報を掴んでるかも知れませんね。あたりを見渡しても特に変わらぬ町並みなので今は彼女と居る時を楽しんでおきますか。


(年齢と血液型と名前言ったらいいのかな!?)
(名前だけで十分です)
(そ、そうかな!?お菓子は持ってた方がいい?)
(花子…実話年齢偽装しているでしょう?)
(し、してないよ!)




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