結婚願望がないと言えば嘘になるけど、
誰でもいいってわけじゃないんだよ。
無重力の愛で包んで
俺を愛してくれないかな、書類に目を通しながらそう呟いたらリボーンに鼻で笑われた。
「あんなに求婚されてるのに贅沢な奴だな」
「それは俺の地位とか金でしょ。俺は俺自身を愛してくれる人がいいんだよ」
「中学生じゃあるまいし馬鹿な事言ってんじゃねぇ。利益のある事だけ考える様にしやがれ」
「そう言いながらもリボーンは今の彼女さんを溺愛してるじゃん」
「なんだ。俺が羨ましかったのか」
ニヤリと口角を上げて上から目線で見るリボーンが気に入らない。
何でこんな奴を愛そうと思うのか分からないや。
かっこいいのか?最強のヒットマンと一緒に居て恐怖とか感じないのかな?
ま、俺も今のリボーンの彼女さんはいい人だと思う。
リボーンと不釣合いだけど!白と黒くらいハッキリとしたような人なんだけどね。
勿論黒はリボーンで彼女さんは白。
「なんでお前がそんなにあいつの事をしってんだ?」
「ボンゴレのボスだから」
「殺すぞ」
「超直感?」
「遺言はそれでいいか?」
「この前リボーンの部屋をのぞいたら居たんだ」
「…勝手に人の部屋に入ってんじゃねぇ」
「だから言いたくなかったんだよ」
苦笑いをして椅子から立ち上がりコートを羽織る。
リボーンも俺に向けていた銃を閉まってやれやれと溜息をついていた。
「ダメツナが今日はちゃんと自分の気持ち伝えろよ」
「毎日そのつもりで会ってるんだけどなぁ」
「恋愛に関してはまったく成長してねぇな」
「ほっとけ」
確かにリボーンに言われたとおり俺は恋愛に関しては今だ不器用だ。
ちょっと凹みながら屋敷を後にして花屋に寄って薔薇の花を一本買って花子の元へ行く。
公園に行くと花子は子供達に囲まれ遊んでいた。
俺に気づくと手を振りながら笑顔で駆け寄ってきてくれた。
「お仕事は休憩?」
「うん。気分転換に花子に会いたくて」
「えへへ。私に?余計に疲れちゃうんじゃない?」
この子供達は凄く偉い。空気を読んで「もう、帰るね!花子お姉ちゃんまた遊んでね」「彼氏さんかっこいいね!」「ひゅーひゅー」と余計な事も言う餓鬼も居たが一言残して帰って行った。
「あ、はい。これ」
「わぁ!綺麗な薔薇!」
一本だけだけど凄く喜んで受け取ってくれた。
逆に花束だと花子は遠慮して貰ってくれないからこれは俺の作戦。
「いつもありがとう。綱吉くん」
「ううん。花子が喜んでくれると俺も嬉しいから」
「ほんと、照れちゃうよ」
ベンチに座って他愛ない会話をする。
それだけだけど幸せで充分仕事の充電になる。
「あ、のさ…俺…その」
「なぁに?」
「花子の事、好きだよ」
「あたしも綱吉くんの事大好き」
いや、好きなのは知ってるから。
一応読心術使えるしね!
恋人とかそんな風には思ってもらえてないのは知ってるけど!
「そうじゃなくて俺は花子をあ、あ、愛してる!」
(…やっと言ってくれた)
(え?それじゃあ…花子も…)
(綱吉君を愛してるに決まってるでしょ)
(今まで俺が言うまで待ってたの!?)
(だって言ってほしかったんだもん)