「用事があって遅くなる時は前もって連絡するのヨ」 「どっか出掛ける時は行く前に俺に教えろィ」 「わたし匂いに敏感だから」 「俺って目敏いんでィ」 (この前の夜寂しかった) (また旦那と電話したのかィ) 「隠せないなら浮気はしないでネ」 「もし俺より好きな奴できたら俺のこときっぱりふれよ」 愛に理屈が存在しないことを二人は知っていた。互いが嘘を吐き自分の知らない秘密を持っていることを二人は知っていた。神楽は異性と会うことを極端に制限されていたが銀時に会うために万事屋へ通っていた。総悟は残業だと偽り吉原へ行き女遊びをしていた。それは互いに感付いていた。感付いてはいたのだ。 「もしもし、沖田ですヨ」 「おォチャイナ娘か?」 「…おーぐしくん?」 「そうだ、総悟いるか?」 「まだ帰ってないヨ」 「あァ?…変だな、一時間前には屯所を出たはずなんだが…」 「どうかしたアルカ」 「あいつ今日までに提出するはずの書類まだ出してねんだよ」 「アララ大変ネ、こっちから連絡する?」 「…いや、今回は俺が代わりにやっとくわ。何か悪ィな」 「大丈夫ヨ、うちのバカがごめんなさいネ」 「いつものことだ。…にしても、総悟のやつどこ行ったんだ…?」 「…」 「ま、いーや。帰ったらよろしく言っといてくれ。じゃあな」 「ハーイ、さよーなら」 不満をぶつけるだけ相手にぶつけて、傷付いて傷付けて、それでも一緒にいる為に全てを無かったことにして来た。知らんぷりはお手のもの。最終的に離婚に至らなければいい。泣いても苦しんでも、一緒にいられればそれでいい。 「…旦那?」 「あ、沖田くん今帰り?」 「…家に何か用ですかィ」 「あーうん、そうなのよ、この前神楽が万事屋来た時に酢昆布忘れてってさァ、酢昆布くらいどうでもいいかと思ったんだけど、あいつにとっちゃ大事なモンかと思って持ってきた」 「…」 「沖田くん?」 「…そーですかィそれはどーも」 「…あァ、うん」 「その酢昆布は俺が責任持って神楽に渡しとくんで、旦那は帰っていいですぜィ」 「えーなにソレ。お茶くらい出してよォ遠路遥々来てるんだよォ」 「いや今多分神楽いないんで。俺お茶淹れられないんで」 「ええそうなの?うーん、じゃーいいや。神楽によろしく言っといて〜。忘れ物に気を付けろってな」 「了解でさァ。んじゃまた」 「おー」 気付けば周りの何もかもが偽りだらけになっていた。相手のどれが本当で、自分の何が嘘なのかも解らなくなっていた。ただどれだけ嘘を重ねても、いつまでも揺るぎない真実は、互いが互いを愛してると言うこと。 「ねえ、機嫌直してヨ」 「俺が全部悪いんだろィ」 愛に理屈は存在しないのだ。 2012.05.25. misa i don't want to know 知りたくもない あれれなんかちょっと違う気がするなんでだろ(´・ω・`) |