なんて変哲も無い魔界の朝。
いつも通りに早起きして服を着替えて髪型を整える
『よし!』
特に可笑しなところは見当たらないので部屋を出て大統領に挨拶をしにいく。
『アクターレ様、おはようございます』
「おー、嬢ちゃんおはよう!オレ様色に染まれ!!」
ふざけた挨拶をするアクターレ様は、いつも私を“嬢ちゃん”と子供扱いをする。
確かに私は背も小さいし子供っぽい、とよく言われるがこれでも三千年以上は生きているのだ。“嬢ちゃん”呼びはキツいだろう
『…アクターレ様、私をいつまで子供扱いするおつもりですか?止めてください、とお頼み申し上げた筈なのですが……』
「いーじゃないか!だってちびっこいんだもんよー!」
豪快に笑って頭をポンポン、と撫でてくるアクターレ様には怒りしかない。確かに小さいがエミーゼル様よりは大きいのだが
『小さい…って、人間界のご老人方は背が小さいとお聞きます。子供だけが背が小さい訳では無いのですよ』
「んん?じゃあアンタは自分を年寄りだと?」
『…別にそういう訳ではありませんが、』
「ならそういう事じゃねぇのかい?年寄りじゃあ無かったらアンタは子供!オレ様は偉い!生肉チョコバー食べるかい?」
『要りません』
生肉チョコバーを何処から出したのか、薦めてくるのを断ってため息を一つ
どこまでも私を子供扱いすると言うのか
『どうしたら子供扱いを止めてくれますか?』
「え?」
『ねぇ、アクターレ様』
「ち、ちょっと嬢ちゃん……?」
目一杯背伸びしてもアクターレ様には届かないので、胸元のネックレスをぐい、と引っ張って自分の身長に近付ける。日溜まりのようなキラキラした金色の髪が、普段より近くにある。
太陽の光に反射して、普段よりも温かく輝いている
「お、おいおい…ッ、」
ちゅう、と自分の唇をアクターレ様の唇に押し付ける。
柔らかくて暖かい感触にずっとこのままで、と思うのだが如何せんアクターレ様は私の上司なので流石にこんな無礼をずっとしてるわけにはいかない。
そ…っと唇を離してアクターレ様を見ると、真っ赤になっていた。
『アクターレ様真っ赤じゃないですか。』
「ううう煩い……!」
『私よりアクターレ様の方が子供……ん、』
太陽のような金色がまた近づく。
今度は、私が真っ赤になる番だ