『ヴァル様ー』

「…む、名前か。どうした」


イワシならやらんぞ、と机に置いてあるイワシを名前から見えないようマントで隠す。そんなヴァルバトーゼに苦笑いをしながら、口に含んでいる飴をガリ、と噛む


『イワシなんていりませんよーそんな生臭いの』

「生臭い!?」


うえー、と舌を出す名前にヴァルバトーゼが不満を漏らす


「お前は!我が下部だと言うのにイワシの凄さを分かっておらん!」

『うーん、イワシは普通に好きですけど、生は流石に無理ですよ』


血生臭いんで、と笑う名前にヴァルバトーゼは「それがいいんじゃないか、」と眉間に皺を寄せる。


『私は吸血鬼じゃないんで、ヴァル様と一緒にしないでください』

「気合いだ!」

『無理です!!』


ガッツポーズをするヴァルバトーゼに、名前は無理、と首を振る。


『ヴァル様も、飴を食べれば良いんですよ』

「そんな甘ったるいもの、無理だ」

『えー』


美味しいのに、と名前は新しい飴を取り出す。


『ほらー、どうです?あーん』


ヴァルバトーゼの口元に棒が付いたロリポップキャンディを持って行くと手で止めてくれ、と制された


『えー、一口だけでも!!ヴァル様の味覚が変わるかもしれないでしょ?』

「……仕方ないな」


一つだけだぞ、とヴァルバトーゼが口を開ける。これは食べさせろって事なのか、と苦笑いしてから持っているロリポップキャンディをヴァルバトーゼの口の中へと運んでいく。


「む、」


ぱくんと口を閉じると同時にヴァルバトーゼが渋い声を漏らす。


「なんだコレは、甘すぎるな」

『そうですか?』

「あぁ」


口から出ている棒を摘み口から取り出すヴァルバトーゼ。どうするんだろう、と名前が首を傾げた瞬間に名前の後頭部に手を回し、グイッと引っ張る


『ッ、!?』


ちゅう、と名前のそれとヴァルバトーゼのそれが重なった。
それも一瞬で、直ぐに離れる。


『うぐっ』


唇が離れた瞬間に、ヴァルバトーゼが持っていた飴が名前の口に突っ込まれる。


「ふむ、」


ペロリと自身の唇を舐めるヴァルバトーゼの舌の動きを、名前はつい追いかけてしまう。


「貴様の唇は甘いな」

『はいっ!?』


クク、と愉快そうに笑うヴァルバトーゼに、名前は顔を赤くした




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