∵夏の終わりに咲く花

「風さん、一休みしませんか?」

私は冷蔵庫でちょうど良く冷やした麦茶とタオルを持って、修行をする風さんに声をかけた。

「わざわざ、ありがとうございます、明野」

みつあみに束ねた黒髪をなびかせながら、風さんは私ににっこりと笑って見せた。

時折、風鈴の涼しげな音がする縁側に座りながら、たわいもない話をするのが何よりも楽しいのだ。

「もうすぐ、夏も終わっちゃいますね」
「そうですね。季節がすぎるのは早いものです」

風さんはそう言って、後ろに倒れるかのように縁側に仰向けになった。

「空が綺麗ですよ、明野」

私も真似をして仰向けになってみれば、眩しい太陽に反射した壮大な青空が目に入る。

「今日は風があって涼しいですね」

私がそう言えば、風さんも同意だというように顔だけこちらに向けて頷いた。
それが、なんだか恥ずかしいけれど嬉しくて私は微笑んでみせた。

「明野をどこにも連れて行ってあげられませんでしたね」
「いいんです、そんなこと!
私は…こうして風さんと一緒にいられるだけで満足なんで…」

私は恥ずかしくて小さな声で、そこまでを言い切った。
風さんは愛しそうにこちらを見つめて微笑んでくれている。

「そうだ、花を見に行きましょう」

なにかを思い出したように起き上がった風さんは、私に向かってそんなことを言った。

「花、ですか?」

私も起き上がると、風さんにそう問いかけてみた。
この時期に咲くような花などあっただろうか。

「今日は今年最後の花火大会ですよ」
「あ!」

私は花火大会のことを思い出して、ついつい大きな声を上げてしまった。

「良かったら、行きませんか?」
「もちろんです!」


私の夏は、まだまだ終わりそうにはありません。


夏の終わりに咲く花
(浴衣まで用意してもらっちゃって、ありがとうございます)
(いつものお礼ですよ。側にいてくれてありがとうございます)


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ついつい浮気気味の風
様を頼んでしまいまし
た//山さんすいません。
夏休み終わりとゆーう
事で学校が始まる舞羽
の心押しになる話を
ありがとうございます!

これからよろしく
お願いします!
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