∵愛たくて 白く長い指が、透明なボールに入っているチョコレートをとった。口に入れる瞬間に彼はこちらをみて、「食べます?」 「…いいえ、いりません。」 「そうですか。」 クフフ、とわけのわからない笑い声を漏らし、彼はチョコレートを口にいれた。…食べてる。 「まるで幽霊でも見たような顔ですねえ?」 「だって、骸さんまだ牢屋のはずじゃないですかあ!!!」 バン、と机を叩く。机の上に出したお菓子とお茶がガタガタと揺れた。 「おや、素直にお茶も出すから納得してるのかと。」 「するわけないでしょっ!帰ったら部屋に骸さんいて超びっくりしてたらお茶くださいって普通に言うから、つい流されちゃったんです!」 「流されたんですか。クフフ。」 「やめろや腹立つ!」 骸さんは私よりずいぶん年上のはずだけど、思わず敬語がとれた。まじであの笑い方腹立つ。 骸さんは、一応…私の彼氏だ。偶然知り合って、乗っ取られそうになって同居して。 最初は嫌な変態パインだとか思っていたけど(これは秘密!)、その底にある優しさとか強さに惚れて、向こうもなぜだか奇跡的に私を好きになってくれて、付き合いはじめたのだ。 だけど、彼は突然消えてしまったのだ。永遠に近い時間を、遠いところで罰せられるために。 「素直に喜べないのですか?」 骸さんが駄々をこねる子供をあやすように言った。なによ、大人ぶって。そんなの、そんなの決まってる。 「うれしいに、決まってるじゃないですかあ…っ」 ボロボロ涙が落ちた。 「だけど、また、幻覚だったら立ち直れないです。淋しくて死にます、ガチで。」 「…相変わらず言語能力が劣る人ですねえ、貴女は。」 骸さんが苦笑しながら、私の頬の涙を拭った。 「だけど何故か、愛おしい。」 涙を拭ってくれた手が、私の顎をつい、とあげた。 「幻想でないと、教えてあげましょうか。」 「え、」 骸さんが近づく。 「ああああ骸さん待ってくださいストップ!たんま!」 「…この至近距離で、その音量は」 骸さんが綺麗な顔をしかめた。だけど、大事なことなのだ。私は、満面の笑みで言った。 「骸さん、お帰りなさい!」 一瞬、虚をつかれた顔をして、それから彼は。 優しく微笑み私の耳元で色っぽく囁いた。 「ただいまかえりましたよ。」 (暗いところにずっといたけど)(微笑みをくれたのは他でもない)(貴女ですよ) いつだって、どこにいたって。 ・・・・・・・・・・ 雨宮さま3300hitおめ でとうございます! これからも応援しまく りますよ! 骸さん脱獄おめでとう なんか色々胸がきゅん きゅんしています← 紳士的な骸様きゅん 色っぽい骸にきゅん 私のハートをきゅん きゅんさせくださる 小説をほんとにあり がとう! ・・・・・・・・・・ ×
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