どうも。金髪のほうの忍足です。忍足謙也です。





最近、付き合い始めた千歳とマネージャー。うちのマネージャーは、まあ並みに可愛い。それは、クラスの男子で話してるときに話題になるくらい。「かわいいな、あいつ」「この組やったら一番やんな」「俺もそう思う」みたいな会話をよくやる。性格は、どことなく少し変。



よく笑う。癒しというか、あいつがいるだけで雰囲気がなんとなく明るくなる感じ。やけど、千歳と付き合い始めたことが知れ渡って、本気でショックを受けた男は少なくとも5人はいる。


「なんで、よりによってあの千歳なんやろな」
「さあ…テニス強いから?」
「そんなん俺やったら、白石がええわ!」
「えー、おれは、あの…一個下の…黒髪のピアスのやつやな!」
「俺も白石〜」


あれっ俺は……?クラスの奴の会話聞いてたら、こんな感じなわけで。(いや、女の子からは俺が一番人気やで!き、きっとそうや!)



まあ、ここまではどうでもええねん。









千歳が引っ越してきて、お互いに一目惚れして。んでやっと付き合うようになって、まーそれはそれはもう、溢れんばかりの性欲を持つ千歳は頑張ったと思う。誉めてやりたい。称えてやりたい。「触りたい触りたいキスしたいヤりたいシたいヤりたい」って言うてたし。千歳が、あいつの使用済みタオルを盗んだことは、男子テニス部レギュラー陣(マイナス金ちゃん)の秘密や。





そう。あんだけ、ヤりたいとか言うてた千歳が!千歳が!!



「白石はどう思う?」

「何が?」

「あの千歳やで?まだ、ヤってないらしい」

「そんなことで悶々しとんのか。頭おかしいんちゃう?」

「白石…お前だけは俺の仲間やと…っ!」

「はあ?仲間ちゃうし。いつ、俺が謙也なんかと、仲間になったん?」



教室の端、白石とお弁当を食べている。あっ、食べるときまでスピードスターちゃうで。ちゃんと噛んで食べなアカンで。白石が冷たいのは置いといて、千歳はどうしたんやろう、一体。何があったんや…。


「千歳、やっぱ大事にしたいと思ったんやろ」

「えっ」


「いざ、自分を"好き"って言ってもらえたら、嫌われたくない、とか、大切にしよう、とか思ったんちゃう?」


「そんなとこやね」


「おおっ!千歳やん!」


俺の後ろから、ぬっと出てきた千歳は、いつもエロいこと言っている時の顔とは全く違って、穏やかな表情。



「辛い思いさせとうなか。嫌嫌言うとんのを無理矢理なんて、俺には出来んたい」


「千歳……」

「お前、男やな…っ!」





ドヤァ、て顔で俺たちを見下げる千歳。ほんならねー、と出ていく背中を見送るとそこで、一通のメール。


「アイツからや」

「おーなんてなんて?」



「"えっちはまだしてないけど、たまに、握らされるの!やめるように言ってよ!"………なんや千歳。無理矢理やってるやんけ!」

「結局変態やな」

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